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№1823 会社の倒産と社員の解雇

№1823 会社の倒産と社員の解雇

 会社が倒産する場合、最も考慮されるのが社員の行く末だ。社長は社員の生活のためにあらゆる努力を行うのであるが万策つきることもある。倒産と社員の解雇の関係は次の通りとなる。

① 倒産発表の日を決める。
    この時、最大の考慮要素は社員の給料だ。社員の給料、解雇予告手当、できたら退職金の順序で考える。今なら給料、解雇予告手当だけでも払えるという考え方で倒産発表の日を決める。

② 社員に対する説明を行う。
    原則として1ヶ月残ってもらって残務整理を進めてもらう。
    この時、社労士の先生を話し合っておいて、退職手続きが万事遺漏のないようにしておく。
    説明の時期は倒産の前日が適切だ。

③ 解雇の通知を行う。
    残って整理をしてもらう人、すぐに辞めてもらう人を選別し、解雇の通知をする。

 会社の閉鎖と解雇の関係については古くから裁判例がある。
 会社の経営がうまくいかないとき、賃下げや整理解雇に直面する。このときに組合ができ、労使の対決が先鋭化することも少なくない。

 この時、労働組合は経営者の経営意欲を失わせるほどの頑強な対応をすることがある。この場合は会社を解散してしまうのだが、解散の必要性や合理性が乏しい場合には組合に対する違法な敵対行為となって不法行為を構成することがある。

 しかし、不法行為となるような事例であっても解散自体の効力を否定しないというのが判例の一般的立場である。

 業績悪化から会社を解散した事例で、会社存続のために賃下げを提案したものの組合が受け入れず、ついに会社を解散した事例がある。裁判所は解散を有効とした上で、解雇権の濫用もないとした(東京高裁6.6.12判時2294号)。

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