名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

2008-01-01から1年間の記事一覧

№88 社長の退職金(総会,定款で定めておこう。)

中小企業では社長の退職金はいろいろなところで使われる。特に相続や事業承継に関しては退職金によって会社の価値を一時的に下げて処理することはしばしば行われる。私が担当した事例であるが,最近も,税理士の機転で退職金を活用して相続問題がうまくいっ…

№87 黒瀬直宏著「中小企業政策」 第3章

中小企業政策を考える者の必読書である。黒瀬直宏氏の「中小企業政策」の第3章の章立てはこうだ。黒瀬氏の考えのネーミングはちょっとかたいが正しい。 第3章 中小企業政策発動の必要性とあり方 1 中小企業は発展性と問題性の統一物 (1) 複眼的中小企業理論…

№86 黒瀬直宏著「中小企業政策」 第2章

黒瀬直宏氏の「中小企業政策」は大変わかりやすい本だ。黒瀬先生の考え方は正しいと思う。中小企業法務のあり方を考えるにあたっては黒瀬先生の考えは大変参考になる。特に第2章,第3章は中小企業政策に関わる者は読んだ方がよい。第2章の章立てはこうだ。 …

№85 初恋

初恋。この文字自体にも私達には特別な感情がこもる。最近では「初恋」などと,淡く狂おしい言葉は余り見ない気がする。改めてこの文字をワープロに出してみると,なんだか,うれしはずかしという感じだ。おじさんとはそんなものかもしれない。 多くの人が初…

№84 Think small first.

中小企業は地域経済,文化の主役であるべきだ。 Think small first.とはEUにおける中小企業政策の理念だ。 何事も小企業のことをまず考えて政策決定が行われるべきだというのがこの思想だ。それはいったいどういう意味だろうか。 取引社会では各当事者は対等…

№83 自己株式(金庫株)

自己株式といのは「株式会社が有する自己の株式」と定義されている。 会社のオーナーは株主だから,会社が自分で自分の所有者となるのは変だ。会社の買取は,結局,出資したお金を返すと言っているのと同じで,会社の財産を減らしてしまう。それでは他の株主…

№82 譲渡制限株式

中小企業の大部分は定款で譲渡制限を定めている。株式が第三者に譲渡され,見知らぬ者が会社の経営に介入を防ぐためだ。中小企業は社長がお父さん,専務がおかあさん,監査役がおばあさんという構成も少なくない。ある程度会社の規模が大きくなって年商が20…

№81 まちづくりと中小企業

中小企業家同友会では,愛知経営者フォーラムを実施する。その分科会ではまちづくりにおける中小企業の役割が論議される。 企業講演は「瀬戸まちづくり株式会社」事業部長河野氏を招いてお願いする。同氏は伊勢市おかげ横町のまちづくりの主要なメンバーで,…

№80 世界のカゴちゃん

名古屋は手羽先で有名だ。「世界の山ちゃん」という居酒屋チェーン店があって,丸の内店は中小企業家同友会中村地区の御用達になっている。ローカルな名古屋にあって,世界を目指すとは景気のよい話だということで,店はたいそうはやっている気がする。 わが…

№79 会社法を単純に理解する。

最近、また会社法の勉強しているが、どうも複雑だ。複雑な会社法だが,会社法の理念は単純である。それは社会の実態を反映するということにつきる。 頭の悪い者ほどものごとを複雑にする。賢い者はものごとを単純にする。私たちは単純だが本質的であるときに…

№78 地域発展と中小企業

№78 地域発展と中小企業 中小企業と地域との関係は切り離せない。考えてみれば,全国規模で展開できればもはや中小企業ではないだろう。大企業一社専属の下請けであろうと,中国に部品を専門に輸出している業者であると同じである。地域貢献から得られる業者…

№77 中小企業は個性重視

一口に株式会社と言ってもさまざまだ。トヨタのような世界一の会社もあれば,社長一人,社員一人の小さな会社もある。こんなに大きな差があるにもかかわらず,同じ規制だったというのがそもそも無理がある。会社法は会社の多様性に応じて,制度設計できるよ…

№76 社長があいまいにしているもの

社長があいまいにしているもの ① 定款・・・どこにいったか分からない。中身も知らない。 ② 株式・・・誰が何株持っているか分からない。 ③ 株主総会,取締役会・・・開いたことがない。 株式会社では定款,株式,取締役会,株主総会は組織の要だ。小さな会…

№75 殺人

マスコミでは殺人事件の報道は絶えない。ミステリーでは殺人は必須のアイテムだ。しかし,現実の場面と言うことになるとほとんどの人にとっては未知の話だろう。私がまた若いころ,集中的に殺人事件の弁護を引き受けたことがある。人が人を殺すというのはや…

№74 実況 ある倒産事件(債権者対策)

(前号から続く) 依頼者:債権者が押し寄せてくるのでしょうか。 弁護士:在庫があるので債権者がくる可能性が高いです。 うわさを聞きつけて,売った商品を返してほしいと言ってくるでしょうね。 依:どうしたらいいでしょうか。 仕入れ先には申し訳ないと…

№73 実況 ある倒産事件(はじまり)

倒産の現場は知っているようで意外に知られていない。あの企業がつぶれたなどといううわさは,業界や仲間内ではあっという間に伝わる。しかし,現実に経営者がどんな体験をしたかはなかなか分からない。 弁護士:どのようなご相談ですか。 依頼者:じつは,…

№72 戦略的法学

法律はこんな時に役に立つ。 ① 大きな困難に直面したときの解決の手段。 自社製品に欠陥があった,社員に事故が起こった,請負代金が回収できないなど。 ② 紛争を予防する手段 大きなプロジェクトで契約書を完備させたい。多数の顧客との関係を整理しておき…

№71 自己株式(金庫株)

中小企業にとって自己株式が役立つのは相続の時だろう。 経営者にとって株というのは不思議な存在だ。上場に際して億のお金が一瞬にして集まったときには魔法でも見ているようだろう。借りた金は返さなければならないし,ものを売らなければお金が入らない。…

№70 セーラー服の魅惑

私の通勤時間帯には女子高生がたくさん歩いている。 私は10年ほど京都で弁護士として活動し,名古屋に引っ越してきた。名古屋に帰ってきて最初に目についたのがセーラー服だ。私は東海高校という男子校に通っていたせいか,特に女子校のセーラー服にどうして…

№69 製造物責任

「事故米」事件といい,その前の赤福事件といい,製品の安全に関する話題は絶えない昨今です。製造物責任法(PL法)が施行されたときには世の中が,騒然として,どの会社もその対策のための説明書作りなどをしました。今回の事件についても,人体には直接害は…

№68 譲渡制限株式

【譲渡制限って何?】 譲渡制限は,会社が信頼できる人たちで運営できるためにあります。 株式は誰でも取引できるものですが,それでは変な人物が会社に乗り込んできてかき乱されてしまうことがあります。社長がおとうさん,取締役はおじいさん,おばあさん…

№67 定款自治

会社法は定款自治が原則である。中小企業では定款はかなり軽視されている。定款はありますかと尋ねてもどこにあるか分からないという返事も少なくない。誰が,何株持っているのでしょうかと尋ねられても古い話になると答えられない。これから伸びていこうと…

№66 突然株主が・・・株式って何だろう。

中小企業では社長の個性が色濃く反映されるため,「株主」の意識は小さい。中小企業の場合,所有と経営の分離が進んでいないため,思わぬところで「株主」が登場して,会社は大いに乱れたり,時には倒産の憂き目にあう。相続の時に,親族が株主として経営に…

№65 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その3

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。ウサギ,その3です。 ウサギの事件はエピソードに事欠かない。東北地方のあるハンコ屋さんは,ウサギが法廷に行くにはハンコが必要だろうというので,わざわざ…

№64 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その2

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。ウサギ,その2です。 裁判所がウサギを呼び出して,またまた世の中は大騒ぎとなった。天声人語はおもしろい,裁判所もなかなかやるななどと書き出した。でも,…

№63 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その1

先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。 弁護士になったからには社会貢献したいと思う弁護士も少なくない。私も普段は中小企業や一般市民の事件を引き受けているが,環境問題にも取り組んでいる。数あ…

№62 ワシントン便り その1

仕事でワシントンに来ている。資料がないので,このブログも日記風にならざる得ない。 インターネットが世界を変えたというの本当だ。メールやウェブサイトは今やどこにいても同じでどこでもやりとりできる。Hサイトだって,米国のサイトを簡単に日本で見る…

№61 センチメンタルな弁護士,ロマンチックな弁護士

今週一週間はワシントンDC出張なために中小企業法務の勉強も中断です。 社長はリスクを背負って自分の人生を選択する。大企業の決断は優秀な人材が会議を開き,多くの情報分析をもとに組織的に決断がされていく。しかし,中小企業の場合は社長の決断はそうは…

№60 テニスと商売,おじさんはしつこい

今回は閑話休題 わたくしはかれこれ4年ぐらいおじさんテニスを楽しんでいる。おじさんは一般に凝り性で,始めればわりあいしつこい。本屋でテニス入門を買い込み,最初の頃は毎日すぶりなどしていた。暑い日も,寒い日もがんばってスクールに通っている。こ…

№59 会社法レビュー

平成13年ころから会社法は毎年ように改正され,平成17年にはその集大成として「会社法」という法律ができあがった。それまでは会社法という法律はなく,「商法」という法律の一部に会社に関する条文が記載されていた。今回の改正は,変化する情勢に対して即…