名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№63 ウサギが法廷に来た日(駄文で失礼) その1

 先週はワシントンDCに出張していて,中小企業法務を勉強する暇がありませんでした。駄文で失礼。

 弁護士になったからには社会貢献したいと思う弁護士も少なくない。私も普段は中小企業や一般市民の事件を引き受けているが,環境問題にも取り組んでいる。数ある環境事件の中でも私の運命を決定づけたのはアマミノクロウサギが原告になった裁判だ。

 原告ウサギという奇想天外なこの事件は,本当に動物が法廷にやってくるのかというので大評判になった。環境が破壊され怒った動物が人間と対決するというのだから,この世のものとは思われない。おりしも世間では「風の谷のナウシカ」とか,「となりのトトロ」とか宮崎駿が大評判となる直前の状況だ。誰もが自然がかわいそう,このままでは人間はよいのかと思い始めていたのだ。

 「奄美大島のウサギが法廷にやってくるなんて! あり得ない」とか、「ウサギのハンコはまえあしか」とか,「ウサギの報酬はドングリか」とかいろいろ言われてきた。百家争鳴、ウサギを捕まえたら文化財保護法違反だ,と保守派からは攻められ,逆にエリートウサギを守ってもだめだ,何でもない奄美のナメクジが原告だなどと急進派からも攻められて,訳の分からない状況となった。

 朝日新聞は社史始まって以来の紙面を割いて報道し,NHKクローズアップ現代で取り上げた。地元九州では新時代と言わんばかりに特集を組み始めた。裁判所の対応が心配されたが,裁判所は訴状を受け取った。みんな,いったいどうなるかと,かたずを飲んで見守っていた。ウサギは?、ウサギは来ない。裁判所は黙っている。そんな説明では国民は納得しませんよ,などとマスコミは全国民を代表して私を責め立てた。

 そんな中,ついに裁判所が動いた。なんと,裁判所はアマミノクロウサギを法廷に呼び出したのだ。世間はまた蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。

 これは本当にあった話だ。でも,アマミノクロウサギを寝ぼけたワープロでそのまま漢字変換するとどうなるかご存じだろうか。それは「奄美の苦労詐欺」なのだ。(つづく)