名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№74 実況 ある倒産事件(債権者対策)

(前号から続く)
依頼者:債権者が押し寄せてくるのでしょうか。
弁護士:在庫があるので債権者がくる可能性が高いです。
    うわさを聞きつけて,売った商品を返してほしいと言ってくるでしょうね。
依:どうしたらいいでしょうか。
  仕入れ先には申し訳ないと思うのですが。
弁: 動産先取特権というのがあって,売買代金債権が優先的に取り扱われることがあります。
依:返す必要がありますか。
弁:商品は返しません。
  シャッターを閉めて,債権者とは対応しないことが大切です。
  全て,弁護士に任せてある。弁護士に連絡してくれと告げて下さい。
依:それで収まるでしょうか。
弁:不渡りの時期に合わせて,債権者には私から通知を出します。
  取り立てで大騒ぎになるようなことはそんなにありません。
  手形にやくざなど絡んでいると問題ですが。
依:よく張り紙があるとあると思いますがどうでしょうか。
弁:この在庫は全て弁護士が管理している,無断で持ち出したら刑法に触れる。
  と書き,弁護士の連絡先を示します。
依:大丈夫でしょうか。
弁:騒ぎになるのは1週間ぐらいです。
  多くは弁護士が介入することで収まります。
それよりも,社員,あなたの家族の生活をまず考えることが大切です。

 とやりとりは時間をかけて続く。経営者にとって,手形の不渡りほど恐ろしいものはない。長いあいだ,何とか不渡りを出さないように必死になってきたことが多い。不渡りの恐怖がしみついているため,実際に不渡りが出てしまうと先が見えなくなってしまうのだ。必ず,弁護士と相談してほしい。