名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№69 製造物責任

 「事故米」事件といい,その前の赤福事件といい,製品の安全に関する話題は絶えない昨今です。製造物責任法(PL法)が施行されたときには世の中が,騒然として,どの会社もその対策のための説明書作りなどをしました。今回の事件についても,人体には直接害はなかったようですが,現実に生じていればメーカーは莫大な損害を被ったでしょうし,中小企業の場合であれば存続が不可能となったかもしれません。

  一般に,欠陥商品を作れば不法行為責任を負うことがあります。不法行為とは悪いことをすればその償いをしなければならないというルールです。しかし,消費者はその「悪いこと」を立証しなければなりません。欠陥があること,それが製造者の過失に基づく物であることを立証しなければならないのです。これは至難の業で,特に今日のように高度に科学技術が発達しているときには絶望的です。そこで,製造物責任法が制定され,「欠陥」があれば,製造業者は責任を負うという仕組みを作ったのです。

  製造物責任は部品,原料の制作者,輸入業者にも課せられます。製品を加工した者も製造業者となります。「欠陥」というのは,製品が設計通りでない場合,製品への安全性に対する配慮がない場合,指示・警告が不十分な場合に分類されます。中小企業の場合,こうした「欠陥」に対するPL対策は不可欠です。もしも,製造物責任を問われそうな事態となり,巨額な損害が現実に生じる可能性があるときに,その責任の範囲なども弁護士として協議し,対策を立てておく必要があります。