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№1173 部品加工者と製造物責任

№1173 部品加工者と製造物責任
 部品に欠陥があった場合にも製造物責任が生じる。企業が他のメーカーから購入した素材その他の半製品に欠陥があった場合は、当該企業がメーカに責任を追及できる。製造物責任法は消費者保護のための法律だが製品に欠陥があれば責任追求の対象のとなる。

 例えば、神戸地裁の事例では排ガス処理装置の一部、沈殿槽に欠陥があって酸性水が大量に漏れ出たような場合にも沈殿槽メーカーは製造物責任の対象となり、7834万円が請求された(神戸地裁H24.5.10判時2165号124頁、本件は除斥期間の関係から引渡時期が問題となった事例であり、引渡後10年を経過したことから責任はないとされた。)。

 一体製造物責任で、責任追及されるのはどのようなものだろうか。 

■ 製造物責任は「製造又は加工された動産」に当てはまるから製造、加工した者に追求される。例えば、農業で大根を生産した場合、生産・加工にはならないから農家は対象にはならないが、漬け物にすれば加工者となる(法2条1項)。

■「輸入した者」も対象とされる。被害者が海外の製造業者に責任を問うことは困難であるから、輸入した者も対象とされている(法2条3項1号)。

■ 自ら当該製造物の製造業者として表示した者又は製造業者と誤認させるような表示をした者も含まれる。OEM製品がそれに当たる(法2条3項1号)。

 製造物責任については、「欠陥」について責任追及されることになるが、何が欠陥かについては法律家でも非常に難しい判断となる。説明書や注意書など対応策をきちんとしておく必要がある。

 また、OEM販売にあっては製造物責任についての取り決めをしておくことも必要だろう。