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№68 譲渡制限株式

【譲渡制限って何?】
 譲渡制限は,会社が信頼できる人たちで運営できるためにあります。
 株式は誰でも取引できるものですが,それでは変な人物が会社に乗り込んできてかき乱されてしまうことがあります。社長がおとうさん,取締役はおじいさん,おばあさん,おじさんというように親族で固められているような会社はそれでは困ります。共同経営者どうしが反目して裏切ってしまったような時には,株式が不審な人物に渡らないようにしなければなりません。そこで,会社法では「譲渡制限」という制度を設けています。中小企業の場合,ほとんどが譲渡制限株式となっています。

【譲渡制限は定款が大切】
 この譲渡制限というのは定款で決められます(会社法107条,108条)。株式の譲渡が制限されているので,株主が株を売却するときには会社の承認が必要です。承認は取締役会のある会社では取締役会が行います(139条)。取締役会のない会社であれば総会が承認します。別に定款で定めれば代表取締役が決める制度を作っても良ことになっています(139条1項但書)。譲渡制限は登記に記載され公表されます。
 会社で対立があるときには,取締役会が開けないなど問題が起こります。そのため定款を簡単にしておいた方がよいかもしれません。小さな会社であれば承認機関も代表取締役にしておくというのも良いと思います。

【制限された株主はどのようにしたらよいか?】
 譲渡制限を受けた株主は自分の株が塩漬け状態になってしまいます。そこで,第三者に売却したいときには,その旨会社に承認を求めることになります。会社が承認しないときには会社が買い取るか,会社が買取人を探さなければなりません。しかし,中小企業の場合,買取人を探すのは大変で,実際には株主が株を譲渡するのが難しいことが多いようです。