名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№67 定款自治

 会社法は定款自治が原則である。中小企業では定款はかなり軽視されている。定款はありますかと尋ねてもどこにあるか分からないという返事も少なくない。誰が,何株持っているのでしょうかと尋ねられても古い話になると答えられない。これから伸びていこうという会社は定款のことも忘れずにいることが大切だ。


 会社法の分野では定款は非常に大切にされる。定款には商号,目的,本店の所在地など基本的な事項の他,株主総会,取締役などの会社の組織に関することや,株式の譲渡制限は,株式の取得条項,発行する株式数,株式の種類など様々なことが記載される。会社の名前も定款に記載されて初めて確定される。会社法の分野では定款に記載されていることをまず第一に考え,定款に記載されていなければ会社法が適用されることになってている。

 定款の自治とはそもそも団体とは何かという根本問題にかかわる。自由社会は個人の意思が何よりも大切にされる。売買契約によって物を取得できるのも,就職によって給料を得たり,労働の義務が生じるのも契約があるからだ。法律の世界では意思によって初めて権利が発生したり,移動したりする。団体の結成も自由な意思によって行われるのが原則である。人は団体に加入して活動するのであるが,それは「定款」という規則を承認することに他ならない。人が会社を作るのも法律上は定款を承認して,何らかの権利を得,義務を負担するというのが法律の原則である。

 だから定款は大切なのである。