名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№66 突然株主が・・・株式って何だろう。

 中小企業では社長の個性が色濃く反映されるため,「株主」の意識は小さい。中小企業の場合,所有と経営の分離が進んでいないため,思わぬところで「株主」が登場して,会社は大いに乱れたり,時には倒産の憂き目にあう。相続の時に,親族が株主として経営に参加してきたり,同僚が会社から離れるときに出資金を返してほしいなどと言われたり,何でも決めることのできた社長は突然「他人によって会社が左右される」という試練に立たされることになる。


 
 昔は株式と言えば,普通株式しかなかった。一株一票で株主総会で全てを決めるというのが本来の原則だ。しかし,株主は徐々に経営に興味を示さなくなり,むしろ,株価や配当に関心があるという株主が増えてきた。株式は,それ自体資産として価値を持ち,うちの母などは中部電力の株式をダイヤモンドのように大切にしている。
 
 そうなると,誰かが買ってくれるということさえちゃんとしてくれれば,株主はそれで満足するということになる。今や,株式はそれ自体ダイヤモンドのように資産として価値があるのだから,会社が買い取ったところでどこに不都合があろうか。会社は生き物だから,自分の株式からだって買える。法律家から見ると,株主がは会社を支配するから,支配される側の会社がオーナーを飲み込んでしまうというのはきわめて奇異だ。会社法は長く自己株式の取得を認めてこなかった。

 新しい会社法所有と経営の分離を極端に推し進めている。株式も資金調達の手段と割り切り,たくさんの種類を設けた。余りの種類に法律の専門家である弁護士もなかなかついていけない。こんなに種類があるのは,ベンチャー企業が出資金を集めやすくしたり,企業合同によってあたらなた事業展開をしたり,会社の乗っ取りを防いだり,相続の問題を解決しようとしたり,いろいろな動機がある。そのすべてに共通する考え方は会社は生き物であるから,もっと自由に形を変えることができるようにしよう,生き物として独立性を高めようというものだ。