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№1988 「株」管理大丈夫ですか

№1988 「株」管理大丈夫ですか

 中小企業は株式の管理がいいかげんであることが多い。

 古い会社の多くは株券を発行することになっている。しかし、株券を発行していない会社は多い。株券は発行したけれど、どこに行ったか分からないという会社もある。株券はあるが,知らない人が名義人になっているということもある。ふだん株主がだれかというのは当たり前すぎて問題にならない。

 しかし、これは会社を売却するとか、親族間の紛争があった時にはやっかいな問題をかけることになる。

1. 株券の交付のない株取引は無効
  会社法128条は株券の交付がない譲渡は無効としている。
  そのため,過去に株式が譲渡されても,株式の交付がないと無効になってしまう。そもそも株券を発行していなくても無効だ。税の申告上譲渡していたことになっていても無効だ。

2. 会社を売る場合
  社長の株が先代か先々代から譲られた場合,売買とか贈与が介在していても,株券の交付がないと無効となる(相続,合併などは除く)。すると,社長が会社を売ろうとする場合,株券の交付がない,社長の権利の正当性に疑問があるということになって売れなくなってしまうこともある。

3. 親族間の争いがある場合
  先代が亡くなって,誰が跡目を継ぐかで争いがあると,株式の所有者が誰であるかが大きな問題となる。そんな場合,株券交付がないばかりに,社長の地位が失われるということもある。

4. こんな対応策がある
  株券がなくとも,長く社長が株を持ち続けていて誰も文句を言ってきてないというような事情がある場合,「表明保証」といって,株は間違いなく全部持っているという宣言をすることで許される場合がある。

  株券喪失登録手続き(会社法223条以下)を行って再発行する。しかし,これは1年ほどかかるので(同法228条1項),間尺に合わない。

  株券不発行について譲渡のやり直しを行う。株券不発行会社になってしまっていた場合は定款を変更して発行会社にする。手続きはそんなに手間はかからない。

  株券不発行会社に変更して,公告する(会社法218条)。これにより株券と株式が分離することになるが,一旦株主になった人の権利を奪うことはできないので,紛争の完全防止にはならない。

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