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№2179 製造物責任が問われる場合

№2179 製造物責任が問われる場合

製造物責任という言葉があります
 製造物の欠陥により身体被害などが生じた場合には製造物責任が問われる。被害者としては,①製品に欠陥があること,②欠陥によって被害が生じたことさえ立証すればよい。欠陥というのも設計,製造,指示・警告の欠陥と3つのタイプがあるが,難しいのでここでは述べない。

火を噴くテレビは「欠陥」です。火を噴いた理由を説明する必要はありません。
 ともかく,「欠陥」という時,科学的な厳密な証明が必要となる訳ではない。例えば,テレビが火を噴いて火事になったという場合,テレビを通常の使用状態であったのに火を噴いたということさえ立証されればよい。なぜなら,テレビは普通に使っていれば火を噴くことはないからだ。

やけどするような携帯電話は欠陥商品です
 携帯電話の異常により,バッテリーが高温となり,低温やけどを生じた事件がある。これはリチウムイオン電池高温化によって生じたものであるが,判例は携帯電話は通信手段として通常使用される場合では,やけどすることはない。製造物責任においては,「欠陥の箇所,欠陥を生じた原因,その科学的機序についてはいまだ解明されないものであっても」責任を負うとしたのである(仙台高裁H22.4.22判時 2086号42頁,上告棄却H23.10.27)。

欠陥商品の部品製造者は責任を負いません
 私たちの言葉で「製造起因性」があればよいというような言い方もする。しかし,一つの商品はたくさんの部品でできあがっている。欠陥商品の部品だったことで責任を負わされたのではたまったものではない。そこで,法は製造業者の指示に基づいて部品を納入した場合には責任を負わないとしている。

契約上「製造物責任」についてはとても気を遣います
 製造業者が製造物供給契約を締結する場合,私たちは製造物責任の所在について非常に気を遣う。何が欠陥で何が欠陥でないかというのは,科学的に決まるとは限らない。社会通念というあいまいな基準によって判断されてしまう。自分と関係ないところで発生した被害まで責任を負わされたらたまったものではない。

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