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№1146 基本契約、非常時の対応のルール

№1146 基本契約、非常時の対応のルール

  №1144からの続きです。→ http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/37340537.html 

3. 非常時対応のルール

 基本契約のもう一つの役割は不測の事態、とりわけ相手の信用状態の悪化に伴う措置を用意しておくことがある。たとえば、金型を相手先に提供した場合、万一相手方会社が倒産したような場合にはすぐにでも金型を引き上げる必要がある。金型の引渡を拒むことで交渉上の有利を引き出したりすることもある。

 相手の信用低下があった場合、担保提供義務を課することもあるかもしれない。個々の在庫の所有権がどちらにあるかは、もし一方が倒産した場合には非常にシビアーな問題となる。所有権が明確ならば即座に引き上げることも可能となりうるからだ。

 あるいは、製造物責任に関する取り決めも必要となる場合がある。
 例えば、ネジ、バネといった小さな部品は個々の単価はきわめて低いが完成品の安全性に大きな影響を与えることがある。一つのバネが自動車の欠陥となり、大量のリコールに発展するかもしれない。この場合、万一製品に欠陥があった場合の処理を取り決めておく必要がある。指示された品質、検品によって免責されることも必要のように思う。

 OEM(Original Equipment Manufacturer)契約の場合、実際の製造者と製造物責任者とが分離する可能性があって複雑になる。この場合、消費者に対して責任を負う局面と、商品の欠陥が実際の製造によって生じた場合の責任の局面が異なるため、販売者が消費者に責任を負った場合に、実際の製造者がどのような責任を負担するかは正確に取り決めておく必要がある。

 納入品のメンテナンスも重要なルールとなる。
 これは保証期間としてよく記載されることがある。欠陥部分の修補責任という面もあるし、一種の瑕疵担保責任のような部分も存在する。

(続く)