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№2180 卑怯者,日本代表

№2180 卑怯者,日本代表

 日本代表決勝トーナメント進出が何かと議論になっている。「サムライ」と言っているしね。サッカーではサムライらしい名誉,誇りがかかってたんじゃなかったっけ。負けても名誉ある死を選んだ人を尊ぶ気風は万国共通の価値観だ。虎は死して皮を残すとか,いろいろ言われる。しかし,日本では西野監督を悪く言う人はいないような気がする。

韓信の股くぐり
 その昔,漢が中国を制覇したが将軍韓信の働き無くしてあり得なかった。韓信が若い頃,ならず者に挑まれたが挑発に乗らず,股をくぐれといわれ,股をくぐった。以来,韓信は股男などと嘲笑されたが,漢において「国士無双」と評価された。将来の大事のために小さな名誉にこだわる必要は無い。日本はベルギーに勝ってくれるんでしょうね。

三十六計逃げるにしかず
 中国南北朝時代,「兵法三十六計」がまとめられた。その最後に,走是上計 - にぐるにじょうとなす→ 逃げるにしかず,とある。

 仮痴不癲(かちふてん) - 愚か者のふりをして相手を油断させ、時期の到来を待つ。日本の試合は愚かな感じだったが,時期の到来を待つためのものだ。三十六計には外にもいろいろ面白い言葉がある。興味ある人はWikiをどうぞ。全部載っている。

逃げるが勝ち
 江戸時代,いろはかるたが生み出されたが,その中に「逃げるが勝ち」がある。ちょっと,無理してけんかせずとも,不名誉でもがまんした方がずっとえらいというところか。今回のわざと負けた日本代表とは違う意味かも。でも,「逃げるが勝ちだよアッカンベー」と居直っているような感じはあるかな。

 いろはかるたは「犬も歩けば棒に当たる」とか,つまり,ともかく弱い日本だがトーナメントにいけないと棒にも当たれないという意味だ。「蒔かぬ種ははえぬ」とか,つまり,ともかくトーナメントに行っておかないと生えるものも生えないということで,いろはかるたはかなり奥深い。

撤退する勇気
 マイケル・ポーターは戦略の本質を「何をやらないか」だという。自社の業界でのポジションを考えて,競争に打ち勝てる場所を絶えず探し続ける。そのためには,何もかも求めず,何かを捨てつつ利益を確保していく。この何かを選択する際の「トレードオフ」,何かを捨て去る勇気こそが競争に打ち勝つ秘訣だと言っている。日本は見苦しい試合をして,名誉を捨てたけど,一応競争には打ち勝ち決勝トーナメント進出を決めている。

ゲームの理論
 ビジネスの世界ではゲーム理論と言われる意思決定方式がある。ビジネスはいつくつもの不確定要素がある。日本はポーランドに引き分ける,勝つ,負ける,コロンビアがセネガルに引き分ける,勝つ,負ける,セネガルとの得失点差はあるか,イエローカードの数はどうか,いくつもの不確定要素が重なる中で決断をしなければならない。西野監督の今回の采配も,ゲームの理論を勉強する上では格好の素材かもしれない。

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