名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№70 セーラー服の魅惑

 私の通勤時間帯には女子高生がたくさん歩いている。

 私は10年ほど京都で弁護士として活動し,名古屋に引っ越してきた。名古屋に帰ってきて最初に目についたのがセーラー服だ。私は東海高校という男子校に通っていたせいか,特に女子校のセーラー服にどうしても注目してしまう。南山女子や金城などの女子校制服を見ると遠い昔の深い憧憬がよみがえってくる。男子高校生の憧れには青春の美しさがあるが,おじさんの憧れは単なる変態でしかない。困ったものだ。

 ところで,娘が高校生になり,女子校の制服などを着るようになると,オヤジの厳しさが加わってくるから私も捨てたものではない。スカートが短いとか,何で化粧するのだとか,髪の毛は染めるな,といちいちうるさい。これは我が娘だけでなく,どの娘にも同じなのだ。地下鉄の階段を鞄でお尻を押さえながら昇っていく女子高生などには,オヤジとおじさんの深い葛藤に悩まされる。隠すぐらいなら短いスカートを選ぶなと思う気持ちには風紀と煩悩の2つの意味があって複雑だ。

 このように本能のコントロールは大変なことだ。ある時には美しくなり,ある時は風紀的,干渉的になり,あるときには変態になってしまう。法律も大変苦労していて,軽犯罪法,ストーカー防止法,わいせつ罪,強姦罪などもいろいろな犯罪類型を設けている。半径500m以内に近づいてはならないという裁判も存在する。

 弁護士などが変態行為に及べばマスコミに取り上げられ弁護士生命を失う。地下鉄で女性の太ももを触っただけで,弁護士会を追われ,家族とともに当地を離れなければならない友人がいた。ああ,おそろしい。梨花に冠を正さず,君子危うきに近寄らず,どんな間違いがあるかもしれない,私は地下鉄では女性,特に若い女性を極力避けて立っている。

 「ベニスに死す」という映画があるが,私の大好きな映画だ。美少年に憧れ,自己を失い,死んでいく、その様には,「美」に対する抗いがたい人間の本能がある。それは「神」の領域に属することではある。しかし,私には「神」への憧れがあると言ったところで,人から見れば単なる変態だ。痴漢は犯罪です。