名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№61 センチメンタルな弁護士,ロマンチックな弁護士

 今週一週間はワシントンDC出張なために中小企業法務の勉強も中断です。

 社長はリスクを背負って自分の人生を選択する。大企業の決断は優秀な人材が会議を開き,多くの情報分析をもとに組織的に決断がされていく。しかし,中小企業の場合は社長の決断はそうはいかないことがほとんどだ。自分のやってきた道や,肌で感じ取った現場情報をもとに決断しなければならない。失敗はすぐに倒産につながることだってある。調子もいいときもあるが,資金ショートにはらはら心配しなければならないときもある。

 社長の決断は常に現実的だ。しかし,社長の決断はロマンがなければ決断はできない。社長の多くはセンチメンタリストでありロマンチストだ。日々の事業で得る人間的体験に敏感に感動する。人生のロマンにも素直に感動する。そうでなければ人はついてこないし,客もついてこない。逆にそういう人間だからこそ生き残ることができるということなのだろう。私は中小企業家同友会に入って,こういうロマンチストにたくさんめぐりあい,本当に入って良かったと思う。

 弁護士も実はセンチメンタリストであり,ロマンチストである必要がある。我々は依頼者のために冷静に事実を分析し,事態を打開する法的手段を示す職業だ。弁護士という職業は知的でシャープでなければならない。しかし,依頼者の要求はそれだけではない。依頼者は困っており,弁護士に対して困った気持ちを共有してほしいと思っている。依頼者は未来に対する自信をほしがっている。弁護士はセンチメンタリストでなければ気持ちを共有できない。ロマンチストでなければ,依頼者の未来に対する自信に勇気づけることはできない。

 このノートは中小企業の社長のための法務を勉強するためのものであるが,このセンチメンタル,ロマンチックの妙をいかに中小企業の社長と共有するかを探る作業でもある。