名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№81 まちづくりと中小企業

 中小企業家同友会では,愛知経営者フォーラムを実施する。その分科会ではまちづくりにおける中小企業の役割が論議される。

 企業講演は「瀬戸まちづくり株式会社」事業部長河野氏を招いてお願いする。同氏は伊勢市おかげ横町のまちづくりの主要なメンバーで,その実績をかわれて瀬戸まちづくり会社のリーダーとして抜擢されたのである。

 おかげ横町は赤福本社跡地を利用してできた商店街であるが,「伊勢」という日本観光の原点という地域資源を最大限生かしたまちづくりを行って成功している。注目するべきはローカルな資源を徹底して利用しようとしたこと,赤福というローカルな産業が主体となって事業を実施した点である。しかし,真の成功の要因はまちづくり参加者が「理念をしっかり持っている」,「伊勢を愛する気持ちが人一倍強い」というところにある。

 中小企業は地域と離れて存続することはできない。同時に,中小企業は地域経済の担い手であることは明らかである。中小企業が地域経済,地域社会の主役となっているかと言えばそうでもない。地域経済,社会の中で中小企業が持っている存在意義にふさわしい,役割が与えられてないからだ。少なくない中小企業が行政や大企業に従属的であり,時に主体たりたいという希望を放棄している。主体的に地域経済,地域社会を作っていこうという気概に乏しい。それでは地域は活性化しない。

  おかげ横町の教訓は,ローカルな資源に活路があり,地域企業が主体となったときに文化が生まれ,大きな成功を収めたというところである。