名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№59 会社法レビュー

 平成13年ころから会社法は毎年ように改正され,平成17年にはその集大成として「会社法」という法律ができあがった。それまでは会社法という法律はなく,「商法」という法律の一部に会社に関する条文が記載されていた。今回の改正は,変化する情勢に対して即応することのできるシステムを目指している。それまでの会社法が「動かざること山のごし」という組織の絶対性,安定性を旨とすれば,今回の会社法は「はやきこと風のごとし」という事業の即時性を旨とするということになろう。
 今回中小企業法務研究ノートを始めて,最近会社法の教科書を改めて読み直している。大学の法学部では憲法民法,刑法,商法といわゆる6法を勉強する。会社法は長い年月をかけて研究,実践された組織法であるが,改めて読んでみるとやはりおもしろい。遠い昔,学校の外の「世の中」を感じさせた会社法であるが,今回は現に使える武器や思想が示されている。今後,少しずつ読み取って紹介したいと思う。
 中小企業は社長個人の力量によって左右されることが多いためとかく会社法のことは忘れがちだ。しかし,会社法は歴史をかけて作られたシステムだからけっしてなめてはいけない。知っていれば役に立つことも多いし,逆に知らないために入らぬ損をすることもある。例えば,会社が多額の負債を抱えたときには社長はどこまで責任を負うのかとか,株式は活用できるかとか,相続の時にはどうなるかとか,中小企業特有の問題がたくさんある。