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№101 中小企業家にとっての会社法

中小企業法務 №101 中小企業家にとっての会社法

 会社法の教科書を読んでみた。私たち弁護士は司法試験という資格試験に合格する必要がある。会社法を始めとしたいわゆる六法は当然勉強している。日常的にも会社法を取り扱う事件はある。

 しかし,司法試験では中小企業の視点で勉強した訳ではない。今回,教科書を通読したのは中小企業の視点で会社法を再検討するためだ。ここ数年会社法はめまぐるしくかわり,新会社法成立という大変革が行われた。中小企業向けの制度も少なくない。

 中小企業というのは一般に変化が激しい。1年,1年,経済変動や商売の発展にあわせて事業形態を変えていく。優れた経営者は組織性に優れている。変化の中でも組織を維持発展させる才能がなければ事業の発展はない。
 例えば,儲かる商売を見つけても組織的に規模を大きくできなければ発展はない。1人より2人,2人より多数というのは当たり前のことだ。1商品で10円の利益を得るより,1個9円の利益を2個売る方が儲かるに決まっている。

 このときに,組織の指標となるのが会社法だ。会社制度ができて100年以上立つのであるが,様々な企業ができあがりトヨタのようなメジャーな存在も出現した。歴史的に洗練されてきた組織を中小企業家はなめてはいけない。特に,自社を大きくするつもりがあるならば,会社法の原則に従った組織形態,組織運営は必要なことだ。

 会社は実態があるようで無いような不思議な存在だ。会社の本体は①人であり,②資産である。人の相互関係を,株主総会,取締役会,代表取締役という「機関」という言葉で説明する。資産は株主や会社債権者を保護するため透明性と外部的監視によって規制されている。