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№1939 パーティー券

№1939 パーティー

パーティー券の中身は?
 国会議員など政治家はパーティー券を販売して政治資金を稼いでいるが、一般的には1枚2万円ぐらいらしい。1回のパーティーに10枚とか20枚とか買って、出席者はせいぜい2から3人ということが状態化しているようだ。

 政治資金規正法8条の2は「政治資金パーティー」という定義を持っていて、政治資金を捻出する目的のパーティー政治団体の主催に限定されている。パーティー参加費は文字通りパーティーへの参加の対価ということになる。その内容はパーティー開催費用と政治活動資金になる。

パーティーに参加するつもりもないと「寄付」になってしまう
 パーティーに出席する気も無いのにやたらとパーティー券を引き受けた場合には、それはもはやパーティー券に名を借りた寄付ということになる。この「寄付」は21条で規制されていて、規制に反すると禁固や罰金などで処罰される(22条)。
 なお、パーティー券であっての平成4年の改正で量的規制が加えられている。

 問題の出席予定のないパーティー券の購入であるが、普通に考えると寄付になってしまう。寄付には規制があり、違反すれば処罰もされる。企業法務として注意する点は次の点だろう。
  
注意1 購入の領域を越えて、寄付になってしまっているか。
  購入代金の支払いの実態、問題となるパーティーの実態から考えて、社会通念上金額のつりあわないような場合には、その社会通念上の超過部分は寄付にあたる。これも何が社会通念かよく分からないので、似たような会社が、似たような政治家でどれくらいのパーティー券を買っているか、実際に出席しているかなど「相場」を加味して判断するしかない。

注意2 寄付として受け取ることを相手が認識しているか。
  「寄付」という概念は、渡す方ももらう方も「寄付」だと認識する必要がある。これは対向犯と呼ばれているもので、賄賂罪と同じ構造を持っている。
  つまり、パーティー券は主催者において相手が確実に欠席するとの認識がないと寄付に該当しない(東京高裁H27.5.28判タ1343号27頁)。一般的には誰が出席して、誰が出席しないかは把握が困難なので、たくさんパーティー券を購入したからと言って「寄付」になることは少ないように思う。

注意3 社内手続きをきちんとしているか。
  購入に際して簿外資金を利用するなどしないで、社内手続きを明確にしておく必要がある。

 どっちにしろパーティー券は政治がお金で左右される事態を生んでいるためこんものを買わないに越したことはないように思うが、「おつきあい」も無視できないこともあるだろう。しかし、規制が厳しいので身辺は常にきれいにしておく必要がある。


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