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№1591 有期労働契約の更新拒絶

№1591 有期労働契約の更新拒絶

 期限を1年とするというような有期労働契約では期限が来れば当然契約は解消されます。しかし,1年を超えてまた更新するというようなことがあります。何回か更新されているような場合に更新拒絶が認められないことがあります。

 有期労働契約の更新が行われ,雇用期間が通算期間が5年を超えている場合,労働者が申し込むと無期労働契約に転換されてしまいます(労働契約法18条1項)。

 また,労働契約法19条は有期雇用契約について更新拒絶が制限される場合を定めています。
 つまり,
 ① 反復継続しており,無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるような場合。
 ② 労働者が有期労働契約の更新継続に対して合理的期待を有していると認められる場合。

 たとえば,労働者の労働内容が業務上,常に必要とされているような場合は正社員と類似していると考えられる傾向にあります。また,更新回数が多い場合も労働者に合理的期待が発生します。雇い入れ時に雇用期間が明示されていなかったりする場合も合理的期待が発生する方向で作用します。

 最近は就業規則で更新回数を明記する場合があります。更新は3回まで,3年ルールというようなものがある場合,こうした制限は有効とされ,これは更新拒絶できる方向で考慮されます(京都新聞COM事件,京都地裁H22.5.18,厚労省H15.10.22基発1022001号)。

 しかし,この就業規則も明示していなければ更新に対する合理的期待が働いてしまいます。また,更新制限回数を超える場合には「後1年だけ」と更新期間を明示する必要があります(札幌高裁H26.2.20)。