№1215 「こんにちは赤ちゃん」
高校時代、クラスで「こんにちは赤ちゃん」を歌ったことがある。
私は東海高校という男子校の出身だ。男ばかりで、高校生ともなるとサカリのついた雄のようになる。女子高生の彼女などいようものなら、「いいな、いいな」という感じで、話題になる。
そんな中、クラスメートNが女子校の生徒とつきあい、セックスしたというとんでもない話がもちあがった。サカリのついた雄ばかりのクラスに、そんな刺激的な話が持ち込まれた日には、もう爆弾のような効果だ。みんな興味津々、何があったのか聞きたくて仕方がない。
おバカなNはまた喜んでそういう話をするのだ。英雄になったような気持ちだったのだろう。しかし、それは1、2週間のことだった。彼女が妊娠したのではないかという疑いが出てきたのだ。こうなると心配で仕方がない。
しかし、サカリのついた雄たちには、それすらも爆弾のような効果をもたらす。Nの心配もそっちのけで、どうなるか、どうなるかとやはり興味津々だ。「おい、今日はどうだった？」とみんなが聞くと、おバカなNは、「バツ」と発表する。
そうすると、なぜか、みんなわーわーいってお祭りのようになる。このあたりは、完全に子供だ。事の重大性が分かっていない。おバカなNもクラスの話題にされて、よろこんでいた節がある。男子校のサカリのついた雄たちは、大きな子供になりきり、性の話題にはしゃいでしまう。
そんな「バツ」の日が何日か続き、ついに、クラスではこれはいよいよ妊娠だということになった。誰が言い出したか、Nが来たら「こんにちは赤ちゃんを歌おう」と言いだしたのだ。ここまでくると、いじめだ。子供としか言いようがない。
おバカなNだが、結局、彼女の生理を知らされ、危うく難を免れた。朗報を知らされた彼はクラスに入るや「マル」と叫び、みんな「おお」てな感じで感銘を受け、中には拍手する者もいた。みんな、本当は心配していたのだ。
「こんにちは赤ちゃん」は確かに歌ったと思うが、どのタイミングで歌ったかは覚えていない。
歌詞は「♪ 私がパパよ。」に変わっていたはずだ。
大ヒット曲「こんにちは赤ちゃん」を知らない人はこちら → http://www.youtube.com/watch?v=yMMsGdah_uM
