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№864 医療法人のお家騒動。院長、税理士も注意。

№864 医療法人のお家騒動。院長、税理士も注意。

 医療法人が会社を設立して業務委託料を支払うことがある。この事例では院長が愛人を後妻にして相続争いとなった。後妻側が敗れ、後妻側、顧問税理士は委託料3億円の返還が命ぜられた。医療法人の場合、手続きがいいかげんなことが多く、日頃からコンプライアンスに注意する必要がある。医療法人こそ顧問弁護士が必要でしょうね。


 この事例は院長と後妻との間の子供を跡取りにすることにしたため、本妻とその子供たちなど、相続人間に骨肉の争いが生じた事例である。

 この院長は医療社団法人を設立したほか、業務委託会社を設立して高額な委託料を支払ってきた。その委託料は19年間に12億7976万3000円である。業務委託とは言っても、この会社は実質的には何もしなかった。業務内容も主には院長の持っている競走馬管理というのであるから、露骨なトンネル会社ということだろう。よく、税務調査の対象にならなかったものだ。

 さて、院長は何でもできたようだ。医療法人の理事には本妻、本妻の子供を理事に据えてきたが、あるとき理事からはずし、後妻の子供を理事に入れた。書類上の記載はあるが、実際の手続きはいいかげんだったようだ。院長死亡後、本妻側が病院の理事だ、入れ替えは無効という裁判が起こされ、認められてしまった。病院では本妻側が経営権を獲得したのだ。

 本妻側新理事は、改めて病院経営を洗い直し、ずさんな高額業務委託について、意味なく財産を流出したとして損害賠償の請求を起こした。被告は後妻の子供、そして、監事であった税理士である。

 結果、後妻側、および税理士は3億円の賠償を支払うことになった。