№2094 ホールディングス
ホールディングスの意味
子会社をたくさんぶら下げている親会社はホールディングスと呼ばれたりしている。会社の親子関係は会社法2条3項に子会社の定義があり,基本的には過半数の株式について持っている側を親会社,持たれている側の会社を子会社とされている。
実際には政令があって,孫会社とか,他社と合同で持っている場合とか,細かく分かれている。私たち弁護士でもとことん詰めて整理している弁護士は少ないように思う。要するに実行支配しているかどうかで親会社,子会社と区別されているぐらいに考えておいたらいい。
この株を持っているだけの会社は日本では独占禁止法が長く禁じていた。これは戦後の財閥解体施策が生み出していたものだ。しかし1997年解禁され,大企業ばかりでなく中小企業もホールディングスを名乗ったりしている。
持株会社にするメリットはいくつかある。
① 事業ごとの特色が出されるため,たとえば労働条件,就業規則もその企業にあったものを作ることができる。
② 部門ごとの採算性が明確になり,当事者意識を持って担当者が業務を執行することになる。
③ 事業ごとにリスクが区分けされ,一つの事業に生じたリスクを水際で止めることができる。
持株会社を本格的に展開するのであれば,会計処理をかなりしっかりする必要がある。税務対策も結構ややこしい。
ところで,持株会社は事業承継にもよく登場する。
この点は税理士さんの専門なのだが,次の点にメリットがあるようだ。
① 親子間の配当金益金不算入制度を利用する。
100%子会社から親会社への配当は益金不算入とされている。確かに,子会社で利益に法人税が課され,また,親会社で課税されてしまうと2重に課税されてしまう。
これを利用する。
1 後継者が新会社設立
2 新会社が銀行などから借り入れて全株オーナーから買い取る。
3 返済は新会社への配当を利用する。
これはかなり安定した利益を生む会社の例だ。しかし,配当の代わりに地代,家賃とか,何かの業務を委託するとか,工夫ができるようだ。このあたりは税理士さんとよくよく相談しないとやけどすることになる。
② 株価操作に利用する
持株会社に移行することによって,どうも株価が下げる方式,類似業種批准方式とかなんか利用することによって株価を下げるチャンスが生まれるらしい。
このほか,事業再生に利用することもある。「そごう」がそうですね。