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№406 銀行に負けない強さを

№406 銀行に負けない強さを
 中小企業のおやじはゴリゴリでワンマンで、虚勢を張って、おかあちゃんはしっかり者で、あの会社は奥さんがいなかったら立ち行かない。戦後間もない頃から高度経済成長にかけての中小企業社長像はこんなものがけっこうあったかもしれない。

 今はかなり違う。
 中小企業家とは言え、勉強しなくては生きていけない。「経営」の専門家として現代社会を生きて行きたいと思っている人は多いだろう。

 しかし、勉強することと商売や交渉に気合いが入ることとはまた違う。

 弁護士でも、若くて優秀な弁護士もいるが、法廷での裁判官とのやりとりや、相手方弁護士、時にはゴロツキのような連中相手の交渉では役立たない弁護士もいる。裁判とは言え、人間同士の接触なのだからその場の雰囲気で精神的に優位に立って、その場の空間の主導権を握ることは必要だ。それがなければ弁護士としての知識も本をたくさん持っているのと同じだ。本を1000冊積み上げても、使えなければないのと同じだ。

 同じように、銀行交渉でも気合いの入った強い交渉精神は不可欠だ。もっとも,まじめな企業家ほど、理屈通りに屈してしまう。銀行と交渉して、担保権を実行しますよ、保証協会に代位弁済してもらいますなどと言われると気持ちがくじけてしまう。

 金融機関との交渉は理屈が必要だ。きちっとした決算報告書、きちっとした資金繰り、きちっとした資金繰り表、銀行の妥協を引き出すためには妥協した方が銀行にとって有利だということを説明しなければならない。
 でも、それに加えて、「中小企業のおやじはゴリゴリでワンマンで、虚勢を張って」突っ込んでいくことも必要だ。自分は分からないところもあるが、分からないなりに銀行にぶつかって、突破口を開いていく。銀行の言い分に対して、へりくつであろうが何であろうが自分の論理で言い切る。間違っていれば、あとで修正すればいいぐらいに思うぐらいがちょうどいいと思う。