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№1971 製造業の法務

№1971 製造業の法務

 製造業は原材料を加工して製品を作り上げる産業だ。愛知県の場合、トヨタ自動車を頂点に裾野産業が広がっている。私の顧客はこの裾野部分、どちらかと言うと「裾」である会社だ。大企業は大企業独特の法務があって、ライバルが強すぎて当分参入できない。

 製造業は高度に分業が発達していて、企業相互の関係が非常に密接だ。品質、単価、納期が競争の3要素だが、これらを武器に親事業者を含めて企業相互の関係に入り込むことで安定した経営が保証される。製造業では「関係」はとても重要な概念だ。

1. 「関係」
 製造業では多品種、大量(小ロットでも消費者などから見ると大量になる)の商品を継続的に供給するという関係を築き上げるのでこの関係を契約化しておくことが求められている。上場企業ともなればかならず製作物供給契約の締結を求められるし、このような契約は中小企業にとって非常にありがたい契約となる。

 一つの製品でも企業群を構成するので協力企業との継続的な取引契約を締結しておくことは非常に重要だ。天変地異があったときの処理、検査の方法、欠陥があったときの処理、製造物責任の追及と材料の仕入れから商品が流通に置かれるまで法的問題を整理しておくことは大切になる。

2. 特に親事業者との関係
  相手が重要なお客さんである場合、どうしても立場が弱い。特に大企業ともなると相当威張っている。大企業の資材部は年々コスト削減を要求し、それに応じれなければグレードを下げてきたり、時には転注といった非情な手段を講じてくる。こうした親事業者に裁判などの法的手段は向いていない。しかし、法律を念頭に入れた交渉は時に劇的に関係を変化させる。不正競争防止法、下請法などは普段お目にかからない法律だが、やりようによっては大変効果的な交渉材料となる。

3. 銀行との関係
  製造業は設備投資に資金がかかることや、景気変動かなり左右されるために金融機関との関係をどのように作るかは重要な課題の一つだ。中小企業の場合、銀行は交渉してくれないもの、言われるままのものと考えている場合も少なくない。しかし、実際には違う、他銀行と比較したり、きちんとデータを示して交渉することは可能だ。「情報の非対称」という考えがあって、銀行側には企業情報は少ない。銀行には適切に情報を提供することで交渉力が増すことがある。

4. 生産管理
  中小企業の場合、切削、鋳造、プレスなど加工方法にはいろいろあるが、親事業者の要望に応じて、多品種をジャストインタイムで生産していく。人材にしろ工作機械にしろ限られた資源を最も効率よく仕上げていくことは必須の命題だ。在庫の負荷を、時間的な効率によって克服するというのがジャストインタイムの基本思想だが、そのためには生産管理システムによって生産計画がサポートされていく。

  この生産管理事態は弁護士の入る余地はあまりないが、システム導入にあたってのIT関連契約は是非とも弁護士が介入すべきだ。IT契約は成果物が実ははっきりしなかったり、値段の決め方もよく分からない。さらにはその後のメンテナンスも依存するため契約には非常に難しい問題を含んでいる。

5. その他
  このほか、労務管理、人材派遣、事業承継、海外対応と製造業が直面する課題は多い。
  >>> to be continued

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