名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№801 M&Aと弁護士、専門家

№801 M&Aと弁護士、専門家
 ここのところ、M&Aの勉強に集中している。
 後継者のない事業者の引退、退職の手法としてM&Aは有効だ。経営者はそれまで育ててきた企業の対価を得て引退することが可能となる。

 M&Aで感じるのは、そのスキームはほとんど確立していることだ。ちょうど、マクドナルドでの売買が決められた形で行われるようにM&Aで決められた形で行われる。

 それにしても、中小企業の場合、M&Aに対して余りにも無防備に動いているように思う。最も深刻だと思うのは事業者が専門家の活用に慣れていない点だ。私の目から見れば、思い切って利用すればよいのに、小出しに使おうとする点に問題がある。

 これは、自分でやれると思って、医師の相談なしで過酷な環境に飛び込むのに似ている。弁護士などの専門家を手足のように使うことも事業者の能力なのだし、質の高い弁護士はそれなり優秀だから,依頼者が弁護士を使いたいという意欲さえしめせば、手足のように動いてくれる。

 M&Aで最も重要な役割を果たすのは弁護士と会計士となる。
 これらの専門家は、M&A全体のスキーム(構造など)を作り上げるときに既に参加させる必要がある。中小企業の場合、M&Aについてはほとんど慣れていないため、ファンドなどに言われてそんなものかとスキームを決めてしまう。

【弁護士の役割】
 企業というのは物のように形があるわけではない。組織とは人と人とのつながり、人と物とのつながり、物と物とのつながりでできあがっている。これらを結びつけているのは法的な拘束力だ。この法的拘束力によって企業は組織として実態を有し、価値を持つ。そのため法的な統制は絶対に必要となる。

 さらに、巨額な取引が、たった一回限り行われる。そのため、リスクを慎重に検討して防止措置を講じる必要がある。そのためにも弁護士が必要だ。

【会計士の役割】
 M&Aでは企業価値をどのように計るか、税制上の問題点はないかなどが検討されることになる。これらはM&Aの最も大きなテーマで、これを専門家無くして実践することは船頭無し海を渡るようなものだ。売主の中小企業は安全域を選ばなければならないのだが、萎縮して契約交渉することになる。そして、必要以上に安く企業を売ることになる。あるいは、税務上のリスクを負担することになる。