名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№411 紛争を予防する(中小企業法務)

№411 紛争を予防する(中小企業法務)
 弁護士の役割は3つある。企業が顧問弁護士を雇うメリットはこの3つの役割があるからだ。顧問関係を作ることで,はじめから心を開いて相談することができる。

 その一 紛争を予防する。
 その二 紛争を解決する。
 その三 戦略的に法律を利用する。

 紛争を予防するとは契約書を検討する。将来の紛争に備えて証拠をきちっとしておくことになる。法律には常に原理があって体系的にできあがっている。

 たとえば,売買だ。なぜ売買が成立するかというと,お互いに価値が見合うと思ったからだ。この機械は1000万円だ。片方が1000万円の機械だと評価する。片方が1000万円を払っていいと思う。お互い,価値が見合うと思ったから契約に至る。これが売買の原理だ。我々はこれを有償性と呼んでいる。我々法律家は契約書を見る場合にも,この原理に見合うものであるかどうかという視点で契約書を順次検討する。

 あるいは,履行の確保という考えがある。一番安全なのはお金をもらうまでは物を渡さない。問題があればすぐに引き上げることができるといった問題だ。これは,お金を払う,物を渡すという双方の行為が前提とされ,お互いに履行しなければならないという原理だ。こうした原理から,履行上の問題点がないか検討する。

 売買は,簡単な契約であるが,実際の契約では結構複雑なこともある。弁護士はすべての契約がはじめからわかるわけではない。当事者の意見を聞いて契約の内容を理解し,法律上のいろいろな原理から順番に検討する。そして,万一,予想外の問題が起こった場合であっても,有利に紛争を解決できるよう条項を考えていくのである。

 さらに,将来の紛争に備えて証拠を備えていく。これも予防法学の基本だ。
 契約書はその一つだ。それだけでなく,取締役会での議事録,受注に関するファックス,紛争が拡大しそうな場合には録音などいろいろある。積極的に相手に交渉させて言質をとっていくという方法もある。
こうした問題は,1回限りの相談にはならない。顧問契約があって初めてできることだ。