名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№354 保険医協会

№354 保険医協会
私の事務所では愛知県保険医協会で講演を行った。
保険医協会は文字通り保険医の団体で,開業医や民間病院の医師らが加盟している。各都道府県に組織があり,全国的には保険医団体連合会という組織がある。

国保団連の会長挨拶では,「保険医協会・医会・保団連は地域医療を充実・発展させ、地域での医療経営が保障される運動を積み重ねてきた医師・歯科医師の団体です。」と紹介され,地域医療の担い手である保険医の役割が強調されている。

さて,保険医協会と言えば,開業医の医師らで組織される団体かと思っていたが,実に,勤務医も会員になれることを初めて知った。東京や大阪などの保険医協会のHPを見ると,確かに勤務医の問題にも力を入れている。

科によって異なるが,小児科,産婦人科,外科の勤務医はかなり過酷だ。通常勤務,当直,通常勤務と続けると36時間ぐらい連続して働くこともまれではない。これでは,どうしようもない。

勤務医の権利の前進は短期には病院経営の圧迫となる。保険医協会は基本的には経営者の団体だから,この問題には実際には眼をつむりたいはずだ。しかし,今回,勤務医の権利をテーマに正面からこれを見つめたことは実にえらいと思う。

中小企業の場合,やはり,同じ問題はある。社員の労働条件の向上は短期には会社の損だ。しかし,まじめな社長は社員の幸せを第1に考える。会社としては守るべきものは守る,働いてもらうときは働いてもらう。これが正しい姿勢だ。

病院経営についても同じことが言える。しかし,問題は,病院経営の場合,社会保障の枠組みに大きく縛られていて,単純な自由競争社会ではないところだ。企業であれば,商品の付加価値を高めたりして,努力もできるが,病院の企業努力はかなり限られている。どうしても,制度など外部要因に対する働きかけが必要になる。