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№343 勤務医の労働の特徴

№343 勤務医の労働の特徴
 今日は新しい背広です。私の場合、同じような背広ばかりなので傍目には新しい背広かどうか分からないかもしれません。

 さて、勤務医はかなり特殊な労働者だ。医師だから、単純に商売で割り切るわけにはいかない。

 医師は患者を救うという崇高な使命がある。眼の前に病んでいる人が待っているにもかかわらず、勤務時間が終了したから帰るわけにはいかない。このあたりは学校の先生と似ているかもしれない。生徒が慕ってやってくるのに労働時間が終わったから帰るという訳にはいかない。

 医療には常に予測不能がつきまとう。手術は予想以上にかかるかもしれない。12時間の手術、15時間に及ぶ大手術があるかもしれない。お産は予定より延びるかもしれないし、お産中に突発的な出血や血圧の変動があるかもしれない。

 病気は24時間いつでもやってくる。病院は24時間対応できる体制が求められる。勤務医には当直があり、自宅にいてもいつでも応答し、病院に駆けつけることができる状態(オンコール)にいることが求められる。

 医療は知的熟練労働だ。日常的な研鑽が求められる。特別な症例に対応するために特別に勉強しなければならないかもしれない。こうした勉強は休みかどうか関係ない。経験による熟練も必要だ。熟練した医師とそうでない医師との技術的差、治療に対する能率の差がある。

 さらに、医療全体は社会保険によって統制されているから、単純な自由競争というのはない。医師の労働内容は保険点数をはじめとした医療行政に左右される。病院のベッド数は統制され、医師の数、医療スタッフの体制など細かく統制されている。

 こうした勤務医労働の特徴から医師の労働形態は普通にはない形となっている。