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№2234 「利益」を分配する

№2234 「利益」を分配する

 「ティール組織」(英治出版)の勉強をしている。ティール組織では個人の生き方が生かされる結果組織が生きていくという考え方を持つ。理念的には個人の生き方と組織のあり方は一致する。人々は上意下達の統制に拘束されず,仲間同士の信頼に応えたいという要求によって統制されていく。

ティールにおける利益とは何か
  事業の維持,発展の対価として収益を得るため利益は事業の維持発展の指標となる。ティールでは事業を単に個々の収益事業とはとらえない。組織構成員「それぞれのニーズを満たし(fill a human need),人生を活性化させる(actualixze our lives) ために人々がコミュニティーとして集まることまで含めてあつまること」も含めて,事業であると捉えている。

 cf. Everything we do has to help us make more money, be more productive or whatever. But that's not my view of business. My view of business is that we are coming together as a community to fill a human need and actualixze our lives.(p197)  

利益は結果であって目的ではない
  ドラッカーは企業が「『利益をあげるために存在する組織』という答え」は「誤っているばかりか、不適切である」といい,利益は重要だが「それ自体が目的なのではなく、むしろ企業とその制約要因だと言える」とも言う。利益に対するドラッカーの言葉はティールでも引用されている。利益に対する考え方はほぼ同じだと考えられる。

ティールにおける報酬(利益の再分配)の考え方
  利益が個人に再分配されるプロセスにおいてもティールでは達成感による喜びが仕事の目的であって報酬は結果である考える。ティールでは「基本的なニーズを満たすだけのお金を持つと,仕事の意義や仕事を通じて自分の才能を発揮し使命を果たすことの方が報奨金や賞与よりも重要となる。」(J221)。多くのティール組織は報奨金によるインセンティブを廃止している(J221)。(No incentives, but company-wide bonuses)(E131)。組織が利益をあげれば,全体のボーナスも上昇する

金銭のインセンティブは麻薬のように強烈で一時的だ
  諸研究によると金銭による動機付けは極めて強いがすぐに麻痺してしまい,より多くの刺激を求めるようになる。不満の原因となっても動機付けとしては一時的だ。利益を目標にすれば,組織は分裂するか組織は強い規則によって縛り付けなければならなくなる。そんな組織は楽しいはずはないとティールは考えている。

ティールにおいても実力主義は否定しない
  しかし,組織に対する貢献,仲間からの信頼,賞賛は報償という形によって表現されるべき部分もある。どんな場合でも組織に対する貢献や,仕事への動機付けは「達成感(a sense of accomplishment)」(196P)によって決められなければならない。このバランスは経営者や組織は十分注意しなければならない。

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