名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2292 事業の目的,意義を明確にする

№2292 事業の目的,意義を明確にする

事業の目的,意義を明確にする
 京セラフィロソフィー第1条は「事業の目的、意義を明確にする」となっている。「会社の使命,目的を明らかにし,それを従業員と共有する」ことが重要だという。それは「経営者の私利私欲を越えた,従業員のためという『公』のものであり,まさに『大義』なのです。この『大義』というものが,人を動かす大きな力を持っているのです。」(誠和塾117号15頁)

どんな組織も生まれながらに存在意義を持っている
 どんな組織も生まれながらに存在意義を持っているというのが私の考えだ。組織が社会の中で価値ある存在であれば,「組織は,まさに私たち人間と同じように使命を持ち,進化したいという情熱を持って使命に向かって進む」(ティール組織334頁)。そして,「この組織の使命は何か?」を経営者は見極め,社員全員が使命向かって歩調を合わせる(ティール組織339頁)ことができるようにすることこそが役目となるのだろう。

企業の使命は行動と結びついた発想だ
 企業の使命はそれを実現するという創造的な目標だ。価値の実現は行動なくして生まれない。企業使命を実現したいという意識と行動とがどれほど結びついているかが,企業の存続・発展を握る鍵のように思う。

パーパス(Purpose):目的または使命感
 最近は目的,パーパス(Purpose)がはやっている。Google創始者マーク・ザッカーバーグはハーバド大学の講演での重要性を説いた。使命と行動が結びついた大義ある目的意識の重要性こそがパーパスである。

  Purpose is that feeling that you are a part of something bigger than yourself, that you are needed, that you have something better ahead to work for. Purpose is what creates true happiness
 パーバスというのはあなたがより偉大なものの一部に属していると感じ,その偉大なものはあなたを必要としており,あなたの働きによって前進するというようなものだ。パーパスというのは本当の幸せをつくりあげる(宣伝会議925号33頁)。

企業は公器
 こうした,ティール組織やパーパスという発想は京セラフィロソフィーの「大義」とよく似ているではないか。

 組織の存在意義が個人の利益を超えた「公」のものであり,この大義の追求こそが組織の目的だとすれば,組織を創造的に活性化させることが経営者の役割だということになる。ミッションステートメントが「従業員に感動と指針を与える」(ティール組織325頁)という本来の役割を果たせるようにするのが経営者の役割だ。

利益追求の意義
稲盛氏は次のようにも言う。利益とミッションの関係を明確に説いたこの言葉の重みは深い。

「私が厳しいことを言うのは,利益追求が目的はありません。この事業の大義名分を貫くために,利益が必要であり,事業を成長発展させなければならないのです。」(誠和塾117号20頁)。