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№2291 箸と匙

№2291 箸と匙

匙と言えば「銀の匙
 匙と言えば,「銀の匙」を思い出す。中勘助の小説だ。「主人公は、本棚の引き出しにしまった小箱の中にある銀の匙をきっかけに、その匙を見つけた幼年期の伯母の愛情に包まれた生活を回想する。」(Wiki)。この匙は西洋の食器だ。私は大学生の時にこの小説を読んで以来,銀製品の食器が好きになった。

日本は匙文化がない
 考えてみれば,日本にはあまり「匙」文化がない。日本の食器は本来木製が中心で手に椀を持ち,箸で食べている。日本のジャポニカ米に粘り気が多く箸が使いやすいということも関係しているようだ。

日本は食事も混ぜ合わせない
 雑誌「科学」に和食の特集があり,韓国食と和食とを比較した記事が掲載されている。韓国は混ぜ合わせて食べる文化だ。ビビンパのビビムは混ぜ合わせたという意味で,パプはご飯という意味らしい。日本はあまり混ぜない。ともかく、混ぜると匙が便利だ。

 おかずという形で口の中で混ぜるが,西洋人は口の中で混ぜることも苦手らしい。うちの子は子供のころごはんをまず食べる「ばっかしたべ」して怒られていたな。西洋人にとって,サンドイッチとかハンバーガーとか混ぜタイプのメニューは画期的だったことだろう。

韓国は汁文化が発達し匙も重用された
 匙の話になるが,韓国では汁をまぜる。韓国では飯とスープがセットになっている。そして,スープは常に混ぜることが前提になっているそうだ。「湯民族」という言葉もあるそうで,韓国人はスープが好きだ。ユッケジャン,コムタン,カルビタン,ソルロンタンポシンタンとある。ポシンタンというのは犬肉の料理だ。鶏肉の宮廷料理,サムゲタンは日本人も大好きだろう。スープに混ぜて食べるのであれば匙は便利なことだろう。

金属食器の発達も匙文化になった原因なのだろうね
 韓国では加えて金属食器が発達した。日本では木製の食器が発達して熱い食品でも手に持って食べることができる。日本人は味噌汁をお椀に入れて口に持って行ってすすって飲むが,世界的に見ても食器に口をつけてスープを飲む文化は少ないような気がする。主食を入れた食器を手に持って食べる文化も少ないようだ。日本のこの文化は鎌倉時代に確立したらしい。西洋も,中国も韓国も匙を使う。熱い汁物を食べるときに手に持つことは金属食器では難しかろう。匙がいる。

日韓中,それぞれ箸の形が違う
 同じ箸でも中国の箸は長くて太い。中国人はテーブルを囲んで皆で箸で食事をとって食べるので長い方が便利だ。

 韓国の箸は金属製だ。銀の箸が高級ということになる。銀はヒ素生成時に混じる硫黄に反応するので毒を検知する。貴族階級が銀を好んだので,その関係で銀の箸はステイタスになっているようだ。韓国人の弁護士は金属製の箸は武器にもなると言っていた。毒とか武器とか安心して食事もできないな。

 日本は目の前に一人前の食事があるので長くなる必要も無い。刺身など生のものも食べるし木製の方がつかみやすい。金属の箸は食材の味を変えてしまうかもしれない。

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