名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2186 垂直的制限行為

№2186 垂直的制限行為

垂直的制限行為ってなんだろう
 親事業者が販売区域をしてしてきたり,同業他社との取引を禁止してきたりしたら,あなたならどうするだろうか。同じ業者に対しては泣き寝入りしなければならないのだろうか。これらは独占禁止法の疑いのある行為だ。

 こうした,親会社が卸屋,小売り業者,あるいは協力会社に対して統制を加えることを垂直的統制という言葉でよんでいる。垂直的統制には価格を統制する価格的統制と,特定の行為を命じたり,禁じたりする非価格的統制の2種類ある。

垂直的制限行為は独占禁止法違反の疑いがあります
 こうした垂直的統制は他社の参入障壁を大きくするため一般的には競争阻害要因となる。消費者にとっては選択の幅が狭くなるとも考えられる。そのため,独占禁止法の立場からすれば,好ましくない。

 法律的には「優越的地位の濫用」と言って,親事業者の圧倒的な力を背景に,下請け会社や卸業,小売業に対して自由な商売を規制するというもので,違法であると判断される(独禁法19条)。

垂直的制限がいつも悪いというわけでもありません
 しかし,一方で垂直的統制が自由な競争を促進する場合もある。例えば,利用が複雑な機械は販売店がかなり丁寧に使用方法を説明して売り込みを図るが,せっかく説明して理解した客を他社にとられたのではたまったものではない。そこで,垂直制限をかけて,販売区域を分け,販促を図る方が,かえって商品販売を促進する効果が出る。

  こうした複雑な事情から,垂直的制限に対しては公正取引委員会ガイドラインを出している。


公正取引委員会に言いつけるという手段はけっこう役立つことがあります
 このように,独禁法違反の疑いがある垂直的制限であるが,親事業者には逆らえないと思って諦めてはいけない。こうした法律違反の疑いがあるケースでは中小企業者にとって有力な武器になる。サラリーマンはトラブルに弱いので,公正取引委員会が関与すると思うだけで腰が砕けてしまう可能性がある。

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら