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№933 特約店と独占禁止法

№933 特約店と独占禁止法
 メーカーから最終ユーザーに商品が流れていく場合、途中に特約店、代理店、取扱店などといった事業者が介在することが多い。これらは法律上特に意味あるものではない。メーカーによっても位置づけは様々で中にはフランチャイズの意味として使うこともある。要するに契約書に従うということになる。

 そうはいっても特約店という時には①競合他社の商品を扱わない、②仕入れ価格に有利な条件をつける、③地域など一定の商流について独占的に卸すなどいくつかの特徴が見いだされる。これらは特約店という専売業者を確保することによって地域の販売力を強化する狙いがある場合が多い。

 この①から③のような行為は当然のことながら独占禁止法との関係が問題となる。独占禁止法は企業の自由な競争を維持して消費者に不利益を与えないようにするための法律だ。特約店による商流の囲い込みは、商品価値によって競争に打ち勝つという自由競争本来のあり方から言えば、適正な競争を阻害しているとも言える。

 公正取引委員会のHP、よくある質問コーナー(独占禁止法関係)ではこうした特約店に関連した独占禁止法違反の例として以下のQ&Aを紹介している。


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Q12
 メーカーが,小売店に競争者の商品の取扱いを禁止することは,独占禁止法に違反しますか。

A.
  自己の商品だけを取り扱い,他の競争者との取引を禁止することは,それが競争業者の販路(取引の機会)を奪ったり,新規参入を妨げるおそれがある場合には,不公正な取引方法(排他条件付取引)として禁止されています。
  例えば,市場における有力メーカー(一応の目安として,当該市場におけるシェアが10%以上,又はその順位が3位以内)が,流通業者に対して競争品の取扱いを制限することは,これによって新規参入者や既存の競争者にとって代替的な流通経路を容易に確保することができなくなるおそれがある場合には,違法となります。

Q13
 メーカーが,販売店の販売価格を指定し,守らない場合に取引を停止することは, 独占禁止法に違反しますか。また,新聞や書籍などは定価販売されていますが,これは独占禁止法上問題にならないのですか。

A.
  小売業者等に自社商品の販売価格を指示し,これを守らせることを再販売価格維持行為といいます。再販売価格維持行為は,競争手段の重要な要素である価格を拘束するため,原則として禁止されています。また,指定した価格で販売させるために,これに従わない小売業者に経済上の不利益を課したり,出荷を停止することも禁じられています。ただし,著作物(書籍,雑誌,新聞,音楽用CD,音楽テープ及びレコード盤の6品目)については,例外的に独占禁止法の適用が除外されています。これを著作物再販適用除外制度といいます。

Q15
 メーカーが販売店の営業地域をテリトリー制によって制限することは,独占禁止法に違反しますか。

A.
  取引相手の事業活動を不当に拘束するような条件を付けて取引することは,不公正な取引方法(拘束条件付取引)として禁止されています。
  例えば,市場における有力なメーカーが,流通業者に対して,一定の地域を割り当て,地域外での販売や地域外顧客からの求めに応じた販売を制限することは,これによって当該商品の販売価格が維持されるおそれがある場合には違法となります。また,メーカーが,流通業者の販売方法の一つである広告・表示の方法について,店頭・チラシ等で表示する価格を制限し,又は価格を明示した広告を行うことを禁止することは,これによって価格が維持されるおそれがあるため,原則として不公正な取引方法に該当し,違法となります。