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№1129 優越的地位の濫用

№1129 優越的地位の濫用 
 独占禁止法は不公正の取引行為を禁止する。優越的地位の濫用というのは、取引上の優位を利用して取引慣習から見て不当な要求をする場合だ。平成21年独禁法改正により具体的に例示された(第2条第9項第5号)。詳しくは公正取引委員会にのウェブサイトで紹介している。
  
  公取「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」 
                     → http://www.jftc.go.jp/dk/yuuetsutekichii.pdf 

 例えば、取引以外の役務を提供させる行為がこれにあたる。量販店が納入業者に対して、従業員を店舗に配置させて販売行為させたり、売買代金に一部を上納させたり、いろいろ例示されている。

 この優越的地位の濫用に関する条文は公正な取引のためとされているが、実際には下請け会社、中小企業を擁護するためにもうけたものである。健全な市場において、下請けの仕事が正当に評価されることを目的としたものである。

 この優越的地位の濫用が独占禁止法の中で議論されているのは国際的にも特殊なのだそうだ。つまり、優越的地位の濫用禁止といった不公正取引を禁止する条文は中小企業に対する保護的な政策であるため、本来の自由競争実現を目的とした施策とは体系が違うと言う考えがある。 

 ともかく、中小企業法務の立場からすれば、独占禁止法は非常に重要な分野ということになる。独占禁止法についてはけっこう使える部分があるので利用してみたいと思う人はこのブログ記事を検索して欲しい。

 平成21年改正により公正取引委員会の権限が強化され、優越的地位濫用行為を課徴金対象行為とした。これは次の記事で紹介したいが、山陽マルナカ社は実に2億2000万円の支払が命じられた。日本トイザらス社は4億7000万円の支払が、エディオン社40億5000万円の支払が命じられている。