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№2185 人集団のサルにはない特徴

ロビン・ダンバーの著書,「人類進化の謎を解き明かす/Human Evolution」(インターシフト社)は読んだ方がよい本の一つだ。


 サルも集団を作るが人間とは違う。現生人類は飛び抜けて脳が大きく,特に前頭葉が発達している。現生人類は想像する力を身につけ,集団の質もサル,他の類人猿,あるいはネアンデルタール人や他の人類とは質的に異なる。

人類は「集団」を作る力を進化させた
 著書はこの「集団」の特異性に注目し,進化論的淘汰圧上の不利,有利を分析する。現生人類は前頭葉によるイメージする力,認知能力を進化させ,集団を発達させた。サルなら毛づくろいによる仲間の確認であるところを,人類は気遣い,忠誠心,笑い,歌,踊り,言語,文化をによって他の生物とは全く異なった「集団」形成能力を身につけた。

人集団のサルにはない特徴
 現生人類の集団の特徴は5人,15人,50人,150人,その外側と階層に分かれる。サルであれば毛づくろいによるフェイスツーフェイスによる直接的な関係を作り上げる。サルは単なる安心できる仲間だが,人はサルと違って,階層を持ちそれぞれの階層に意味づけがある。例えば,15人は「いざという時に無条件で駆けつけてくれる人びとだ。」。15人のうち「5人」は「強力な情動的支えを与える」人たちだ。

5人は強い同志,15人は職場単位,50人(職場),150人(仕事上の仲間)集団の特性
  
  5人層は家族(経営中核),15人層は身近な親族(職場単位),150人は親戚(狩猟採集社会の集団単位,仕事上の仲間)という具合だ。150人は現生人類の単位だ,農村の集落,軍隊の中隊,工場の労働者の単位とかなり普遍的数値になっている。150人の外側は何らかの同盟関係を結んだ人たちだ。

人類は本能的に集団を作り上げる
 人類は本能的に5人集団という家族を作り,15人集団という小集団を作り,150人集団という大集団を作り,さらに文化や秩序によって外側の集団を作り上げる。この時に集団を形成するための能力というのが,気遣い,忠誠心,笑い,歌,踊り,言語,文化だ。

この本は必読文献だ
 この本を読んでいると,家族のため,友人のため,会社のため,社会のため,それらが円滑で素晴らしい集団になるために生物たる人のどんな本能に,どのように働きかけたらよいのか見えてくる気がする。

 古来,中国人たちが民を動かし,国を動かし,歴史を動かしてきた「徳」と呼んできたものの正体が自然科学的に解明されていくような気がする。

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