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№1851 事業提携の「終わり方」も定めておきます。

№1851 事業提携の「終わり方」も定めておきます。

 事業提携する場合、合弁契約を締結して会社を新設することがある。一方は特許やノウハウ、一方は事業資金ということもめずらしくない。

 合弁契約では議決権の行使や利益の分配などいろいろ合弁会社経営に関わる契約を締結するが、そのほかに終わり方も定めておく。特にけんか別れもあり得ることを想定しておく必要がある。

 終わり方は次のプロセスをたどる。

 合弁会社解散決議 → 精算 → 残余財産の分配 → 清算事務終了決議

 清算事務を想定して合弁契約書には残余財産の分配の方式も定めておく。
 ① 誰に何を渡すか。
   現金、預金、有価証券などはA株主に、特許はB株主にという具体だ。
 ② 財産をどのように評価するか。
   時価評価していくのか、簿価を基準とするのか。

 残余財産の分配は原則として株主に平等でなければならない。しかし、株式の譲渡制限がついている閉鎖会社では異なる定めを置くことができる。つまり、定款の定めによって株主によって特別な定め方ができる(会社法109条2項、309条4項)。私たちはこれを株主の属人的な取扱いと呼んでいる。

 従って、合弁契約に定めた精算方式は合弁会社設立にあたって定款にきちんとその内容を定める必要がある。

 ちなみに、合弁会社の定款に定めていないが、全株主による契約によって分配方式を定めている場合、会社法には従っていないが、会社法の方式に従ったと同視できるとして特別な分配方式を有効とした判例がある(東京地裁H27.9.7判時2286号122頁)

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