名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2158 中小企業M&Aの注意事項

№2158 中小企業M&Aの注意事項

 中小企業の出口戦略としてM&Aを利用する場合には大きく2つのタイプがある。一つは多額の借金を抱えていてそれを精算する方式,もう一つは価値ある会社を売って大きな利益を得ようという場合だ。同じM&Aでもニュアンスが違う。
 ともかく,M&Aを実施する場合,弁護士のアドバイスは不可欠なのだが,日頃から簡単なことは整理しておくに限る。

1. 株式の整理を確実にする
  M&Aが可能な会社は古い会社が多い。創業者は先代だったりする。見たこともない株券や株主名簿が出てきたりする。
  ① 少数株主,名義株はなくしておく。
  ② 過去の株式移動を確実にたどれるようにしておく
  ③ 株主名簿を完備しておく

2. 「株券」の始末をつけておく
  株券発行された会社の場合,株券の移転がないと株式の移動はできない。
  ① 株券が一度も発行されたことのない会社の場合,定款変更して株券不発行会社にしておく
  ② 株券が発行されたことのある会社は,株券の所在を明確にしておく
  ③ 一部株券が紛失している場合,株券の効力を喪失させる手続きを行う。

3. 契約書関係を整備しておく
  会社利用する建物,土地,機械など契約関係があいまいなことがある。例えば事業主の土地を借り入れている場合,契約書がなかったりあるいは本来利益相反行為だったりするので総会決議が必要な場合がある。お金の貸し借りも裏付けが必要なことがある。

4. 定款を整備しておく
  ひどい会社になると定款がなくなっていることがある。
  定款は会社の構造を決めるものなので,当然完備しておく必要がある。

5. 総会決議や取締役会議事録を完備しておく
  株式の発行,役員報酬,役員と会社との取引など総会決議や,取締役会決議が法律上要求されることがある。この場合,法律の手続き通り実施する必要がある。
  例えば,役員の退職金として多額の生命保険を利用している場合,利益相反行為になることがあり,総会決議が必要になる。


名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら