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№1953 合弁契約

№1953 合弁契約

 海外で合弁契約を締結する場合、当該国の国内法の規制があるのが当然だが、企業同士が合弁契約を締結する場合、国内、国外を問わず基本的な構造は同じだ。

1. 合弁契約の役割
  合弁契約により、合弁企業(joint venture / JV)ができあがる。そこでは出資企業相互の役割や、JVの組織、さらにJVと出資企業との関係が決められていく。合弁契約書はその全体像をかなり細かく描き出す。たとえば、JVの組織構成はどうなるか、役員構成はどうするかなども取り決めるし、そのためのJVの定款も合弁契約で決められていく。

2. 合弁の目的定める
  契約書では契約の目的を定める。これはJVがどのゆうに各出資者に利益をもたらすか、合弁企業がどのように発展していくかを定める理念のようなもので、非常に重要な役割を果たす。

3. 組織
  出資者の出資割合や、取締役の数、代表者の役割など組織のあり方を決めていく。これも目的を実現するための戦略から組織が決められていく。
  この場合、各ステークホルダーに対する情報開示のあり方や、一定の拒否権なども決められることがある。
  利益の分配方法や、JVが資金難に陥った時の対応を決めることもある。

4. 業務提携のあり方
  JVの目的実現のために、JVと関係者と間の業務提携のあり方が決められていく。JVのマネジメントに責任を持つ者、材料の供給や商流獲得に責任を持つ者、技術協力として責任を持ったり、人材確保について責任を持ったりと決められていく。この場合、JVと関係者の業務提携契約書が合わせて作成されたりする。

5. 契約解消の方法
  合弁解消がいかなる場合に行われるかが決められる。片方が片方の株式を買い取ってしまうとか、解散時における清算金の分配方法を決めるとか解消に向けたプロセスを合弁契約は準備する。

6. 紛争解決の方法
  当事者間に紛争があった場合の解決方法を示しておく。たとえば、紛争解決機関、適用すべき法律、使用する言語、管轄などいろいろ細かく決める。

 こういう契約は法的拘束力のある具体的な条項も多いが、いわば憲法のようなもので、合弁契約書によって関係者が共通のベクトルを作り上げるようなところもある。こういう契約を作る場合、関係者が合弁によって何を得ようとしているかをできるだけ正確に聞き取り、それを合意という形で見える化するというのが弁護士の役割ということになる。

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