№1809 企業戦略と法務との関係
企業戦略に従って企業は組織化され、活動する。弁護士の役割は経営者が意図したどおり組織が組み立てられているか、運営されているか、活動が利益を生み出す仕組みが契約などによって確実なものとされているか、これらがリスクを回避するものになっているかを検討することになる。
1. 組織のあり方
会社法によって組織のあり方が示されている。さらには業態や事業戦略に従って特有の組織が作られることになるが、それが経営者の意図通りのものであるか、リスクをはらんでいないを検討する。たとえば、権限が大きすぎる場合は濫用の危険も高くなる。それを補うのは組織の透明化など管理システムということになる。
2. 組織の運用
取締役会、株主総会、管理監督制度が法律通り運用されているか、経営者が意図したと通り機能しているかはガバナンスやコンプライアンスにかかわるテーマである。この場合、誰の利益を守るためにガバナンスがあるのかが常に問われることになる。株主(オーナー)、顧客、公共(社会的信用、行政など)、社員などの視点から組織運用が適切かどうか検討することになる。
3. 財産管理
企業財産も企業の種類によって異なる。運送業であればトラックや倉庫、車庫が大きな財産だろう。製造関係では工場はや機械、在庫、知的財産かもしれない。当然、財産管理のあり方も違う。管理が法的確実性を持っているか、リスクは回避されているかが弁護士の課題である。
また、財産取得時においてもリスク回避のための契約書が整備される必要がある。たとえば、土壌汚染が危険視される場合、契約書はどのようにしたらよいだろうか。M&Aでのリスク回避は万全だろうか。
4. 人事、労務
ここでも組織戦略そった人事、労務管理が実施されることになる。未払い残業や労災の問題、ハラスメントといった基本的な問題から、派遣労働、業務委託、出向といった複雑な法律関係が検討課題となる。行政などの監督も問題となる。
5. 対外関係
企業は営業によって利益を生み出す。売買契約や製造委託契約、サービス提供、賃貸といったいろいろは契約があるが、多くは継続的な関係となる。利益を生み出す関係が契約によって守られているか、リスクは適切に回避されているかが重要である。
利益というのはとかくリスクを伴いやすい。利益を得るために逸脱した行動に出ていないか、不正な利益を得ていないか、法律家としては警告を発する必要がある。
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