№1817 合弁企業のノウハウ
海外に資本進出する場合、独資、つまり単独資本で進出するのが原則だ。合弁の場合、意思疎通がうまくいけばよいが、失敗したときの処理がこまる。仮に合弁で進出するにしろ多数派はこちらが握れる仕組みを作っておく必要がある。
それでも、多数派を作れない場合がある。
相手が多数派であるということは合弁企業の経営権は相手が握ることを意味する。経営権を握られてしまうと、当初利益を守らない可能性がある。経営は生き物だから当初の見込みとことなることはいくらでもある。企業の状態が悪くなれば当初の約束を守ることが苦痛になることは普通に存在する。
この場合、少数派としては合弁契約書で相手方を拘束するほかはない。
考え方の順序は次の通りだ。
① 自社の利益を考える
合弁で得ようとする利益は何かをはっきり確定させる。安い労働力なのか、相手国での市場なのか、相手企業のノウハウなのかいろいろある。
これは将来利益を考える点で不確定要素が多い。しかし、それでも合弁を決断する以上決めなければならない。利益の定義、不確定要素の定義、不確定要素の不確定の幅、それを見切きる。
契約書は相手を拘束するので利益を固定させるだろう。経営者の中に分かっていてもかなり漠然としか考えないことが少なくない。
② 自社のリスクを考える
自社の損失の範囲を確定させる。失敗しても最小限これだけで住むという範囲を確定させる。契約書は損失を最小限に抑えることができるよう条項を工夫することになる。たとえば、合弁企業に対しては増資しないと最初から約束しておくという具合だ。
③ 契約の構造を理解する
合弁契約は合弁企業の戦略を決め、組織のあり方を明らかにする。
当事者会社2社、新会社の三社の契約関係が存在する。この構造を理解し,契約上のどこの問題を協議しているかはっきり理解しておかないと、交渉にならない。
どのみち、合弁企業を作ろうという場合、法的に難しい問題が多い。特に国際的な合弁事業となると当該国法の適用の問題もある。弁護士なしでは考えられない。私の考えではこうした場合、少々お金がかかっても弁護士にはお金をかけるべきだ。
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