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№2118 企業における法務部の価値

№2118 企業における法務部の価値

 大企業になると法務部がかなり整備されており,企業によっては法務部長は取締役の中でもかなり重要な役割を果たす例がある。大企業が法務部を重視する理由は何だろうか。

契約関係の整備から始まる
 最初の任務は契約関係の整備だろう。普段当たり前に行われている取引だが、実際にトラブルになれば契約書がものをいう。製造業などは大量取引を前提にすることが多いので小さなトラブルでも会社の命運を左右するような大きなトラブルになる。

 例えば、中小企業ではほとんど無視しているような基本契約書だが、その記載によっては工場一つを救う力がある。

事業戦略の立案
 企業が新事業を展開する場合、法的な枠組み作りが重要な場合がある。例えば、自社としてはいかなる利益を確保するために事業提携するか明確にする必要があるが、その場合、契約書によって利益の範囲やその確保を明確にする。合弁企業も同じ事だ。会社を新たに作って新事業を展開する場合もある。

 知財など、特殊技術やブランドを利用する場合は特に初期段階において法的な枠組みを理解する必要がある。特許を持っていても特許の取り方によって使えないことも少なくない。フランチャイズ契約などの場合にも契約上のしばりをどこまで作り上げるかは重要な課題となる。

コンプライアンスは時に企業の命運を左右する
 法令順守は企業にとっては基本のキだ。反社会勢力との関係は当然立たなければならない。独占禁止法不正競争防止法、景表法や消費者保護法、食品衛生法など行政上の規制なども重要だ。

 不正が社会問題化する前に未然に防止する策としても内部通報制度の整備も必要だろう。万一、社会問題化した場合、企業イメージを維持するための最善の策は何か考えなければならない。例えば、産地偽装などはあってはならないし、発覚した場合には早期の対応が必要となる。この点の企業リスク回避の価値は計り知れない。

ガバナンスの整備
 労務関係でやってはいけないことは多い。法務部は社労士や弁護士と協議しながら、基本的なガイドラインを作ることになる。たとえば、パワハラやセクハラなどは典型だし、解雇などの重要な判断などは法的な検討無くしてやってはならない行為の一つだ。訴訟の場合のリスクも企業にとって決して小さなものではない。

 取締役会や株主総会、定款の整備なども中小企業などは普段かなり軽視しているが、社内に対立がある場合には法律が定めたとおりの手続きを経ないととんでもない結果を招くことになる。

情報の集中と信頼関係
 かように法務部の作業は企業の活動全般に及ぶ。これはある意味放置もされやすい部門でもある。企業内で法務部を明確に位置付け、法務部スタッフが日常的に情報収集しやすい環境を整える必要がある。法務部においても関係部門との信頼関係を作り上げていく努力が求められる。

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