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№1607 「暴力団お断り」の効力

№1607 「暴力団お断り」の効力

 企業にとって暴力団の排除は重要な課題だ。弁護士はこうした問題の最前線に立つことになる。暴力団排除のルールを作り上げるにはどうしても弁護士との相談は不可欠だ。

 ゴルフ場の出入り口などに「暴力団お断り」というような看板が掲げているが,その効力はどのようなものなのだろうか。形ばかりのもので法律上の効力は無いのだろうか。

 こうした看板がありながら暴力団員がプレーしたり,暴力団を随伴してプレーした場合,刑法上詐欺罪が問題になる。刑法上,人をだましてお金をとったり,サービスさせたりすると詐欺罪となる。

 この「だます」行為はただ黙っているだけでも詐欺罪になることがある。たとえば,無銭飲食のつもりで注文すると,その時点で詐欺行為が着手されたとしている。つまり,注文するという挙動が人をだましたと評価されてしまう。

 ゴルフ場の場合も黙ってビジター受付表にサインしたような場合も似たような状況になる。これも無銭飲食と同じように詐欺になるかが問題とされる。

 最近これについて最高裁判決が出された(2小H26.3.28,判時2244号121頁,小2,H26.3.28,判時2244号126頁)。結論から言うと次の通りだ。

 ① 一般利用客と同じようにビジター受付表を記入してプレーし料金を払うというだけであれば,詐欺罪とはならない。
 ② 受付表に暴力団関係者はプレーできない旨の表示がされ,誓約させる文言があれば,詐欺罪となる。
 ③ 暴力団員は同伴しないという誓約した会員が同伴したような場合は詐欺罪に該当する。

 挙動だけで人をだましたと言えるかは非常に難しい問題だ。この点についてはどのように暴力団を排除していくかは弁護士とよく相談してルール化を図っていく必要がある。