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№1179 幹部養成の課題

№1179 幹部養成の課題
「先生、会議の時にどうしても私がしゃべっちゃうんですよ。」
「みんな黙っているでしょう。どうしても私が口を切ってしまって、いろいろ言うんですよね。」
「わかります。みんな黙っているんで、しゃべり出すまで黙るというのは忍耐がいりますね。」

 会社を作ってきた社長はよく見えるのでどうしてもイニシアティブを発揮してしまう。会社にそういう雰囲気があるのでどうしても、発言することに心理的な抵抗がある。この会社はここを突破したいと考えている。つまり、社員は自分の責任を自覚して社内で主体性を発揮することが求めている。

 そこで、この会社では社員教育のコンサルを導入した。さしあたって幹部の「意思疎通」をテーマに教育が始まった。教育と言っても学校のように先生が講義をして受けたまわるという訳ではない。楽しいゲームを行って、コミニュケーションの大切さを身につけようというものだ。私もやったことあるが、子供のようにゲームで交流することはかなり役立つ。

 もちろん、こうした雰囲気作りは大いにけっこうなことだ。しかし、会社としては幹部の社内での位置づけを明確にしていかなければ、幹部はできあがらない。

第一 会社全体のキャリアシステムを展望する。新入社から始まり、課長、部長、社長と徐々に会社の中心部に位置を占めていく。社員が会社での経験を経るに従って社内でどのような地位を占め、どのような役割を期待されるかを示す必要がある。

第二 社長と社員との関係を作りあげる
 社長と社員との関係は社員がどれだ社長の理念を代弁できるかが大切なことになる。また、本来から言うと社員が主体性を発揮して、社長にはない能力を発揮できるとよい。責任の範囲が明確にされ、社員が主体的にその責任を実現しようとする姿勢が作られるとよい。

第三 社員同士の関係を作りあげる。
 幹部社員の場合、相互の意思疎通を図り、適切な役割分担が図られていくことが必要になる。社員が社長の考えを団結して取り組んでいくことこそ望ましい。原則、柔軟、団結、組織的という難しい課題を一時にこなすことになる。

第四 社員と部下との関係を作りあげる。
 幹部社員は部下に幹部と認められてこそ動くことができる。部下集団の中で幹部社員が権威を持って対応できることが必要だ。幹部社員が部下と対立した場合、部下の前で叱責するなどということはあり得ない。部下が幹部社員を幹部と認めるの幹部が決断をできるからだ。部下が幹部を幹部として認めるのはそれだけの倫理性を備えるからだ。こうしたことを整理して企業文化とし、さらには幹部が幹部として徐々に自信を持ち、部下も安心できる関係を作ることになる。