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№1180 冬の花と言えば・・・

№1180 冬の花と言えば・・・
 冬の花と言えば、牡丹でしょうかね。寒牡丹、冬牡丹は冬に咲きます。「立てば芍薬、座れば牡丹」、古来より、美女の代名詞として牡丹はもてはやされてまいりました。


 唐代、玄宗皇帝は牡丹を愛でたということでございます。詩仙、李白玄宗皇帝覚えめでたき絶世の美女、楊貴妃を「一枝の紅艷、露香を凝らす,」と牡丹に例えてうたいました。楊貴妃の持つ「紅」と「艶」、これを象徴するのがまさに牡丹というところでございましょうか。

 一体に、牡丹という花はいつも何か怪しい雰囲気を持っております。楊貴妃の妖艶は国を危うくいたしました。楊貴妃の美しさはその入浴シーンとともに有名でございます。「温泉、水滑らかにして凝脂を洗う」、緋色の布で飾られたうす暗い部屋の中で白い肌が温泉に洗われているシーンなど、考えただけで理性を失わせるほどの怪しさに溢れているではありませんか。・・・・実際には屋外の温泉の歌のようですが。

 「唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれと、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、楊貴妃の例も引き出でつべくなりゆくに、・・・・」と美女の恐ろしさは我が国においても、おそれられておりました。

 牡丹と言えば牡丹灯籠の怪談話が有名でございます。飯島平左衛門の娘、お露は素浪人萩原新三郎に恋い焦がれ、ついに死んでしまいます。新三郎を死してなお忘れることができないお露は夜な夜な牡丹灯籠を掲げて新三郎を訪ね逢瀬を重ねます。新三郎は生気を奪われ、日々、やせ細っていくわけでございます。

 これにおかしいと気づいた下男、関口屋伴蔵がそっと覗くと、なんと新三郎は髑髏と抱いておりました。これは、このままでは命が危ないと、ついに新三郎、命からがらお露との縁を絶ちきったというのが、怪談牡丹灯籠のお話しでございます。

 我が幼少の頃、祖父母の屋敷に腕、タンス、掛け軸といたるところに牡丹の絵がございました。かび臭くて薄暗い屋敷に、古くなった家具ある大輪の牡丹は何か牡丹灯籠を思わせ、恐ろしかった覚えがございます。

 でも、「春風、無限の恨みをときほぐし、沈香亭北、欄干に寄る」、楊貴妃が欄干に身を委ね、春風を受けているさま、私どもに何もかも忘れさせ、空の世界に私達を誘うのでございます。万人の功徳になれば美もまたけっこうというところでございましょうか。