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№1178 うつ病と経営者の責任

№1178 うつ病と経営者の責任

 社員がうつ病、もしくはうつ状態になった場合の会社の対応は難しい。うつ病などは一口に言って元気がなくなることになるが、作業能率が落ちたり、ミスが発生したり、時には事故の危険も生じる。

うつ病の企業リスク】
 当然こうした社員に対する叱責も多くなり社内の雰囲気が悪くなる。特別な配慮をすればなぜあの人は働かなくていいんだという不平等感が社内に出る。うつ病が会社の業務に起因するのであれば労災となり、そのような場合に自殺者が出れば会社の安全配慮義務も問われかねない。

【企業防衛の視点】
 当然、こうした会社のリスクを考えた場合、日常的に防止することや、発症した場合の早期対策は必要不可欠だろう。最悪の事態、つまり、解雇についてもそれに至るプロセスを予め準備することは必要なことだ。とりわけ重要なのは就業規則だ。時には気の毒な結果となるが企業防衛の視点からすればやむえない。

【理想的経営者】
 しかし、会社はいつも社員の解雇を考えて経営している訳ではない。会社はいつも「人を生かす」ことを考えて経営するべきだ。うつ病うつ状態となった社員はどのような配慮をするべきだろうか。

 ① うつ病について正確な理解が必要
   うつ病うつ状態、入院が必要なレベル、薬で回復するレベル、規則正しい生活で改善するレベル、いろいろある。こうしたうつ病に対する正確な理解が必要だ。
 ② 雇用、職場復帰の基準
   会社にとって重要なのはうつ病かどうかではなく、期待された労働を提供してくれるかどうかという点である。生活できるだけでは回復とは言えない。労働できるが回復の基準となる。
 ③ 社員の主体性の確保
   うつ病は元気のないという疾患で、そっとしておくしかないと考えられがちだ。しかし、実際にはその態様は多様だ。社員の自主的な努力も期待される。会社もそこの自主性を引き出しつつ配慮することになる。もちろん、この主体性が見られない状況下では会社としての配慮には限界が出てくる。

【配慮と言ってもねえ・・・】
  会社の本音としては、その社員が実際にどれほど会社に貢献したか、貢献しているかが配慮の大きな基準になってしまう。

 何年も会社に貢献してくれた社員がうつ病になった場合、社長としてはこの社員を見捨てることは中々できない。
 新入社員がたちどころに会社に来なくなるなんて場合は、こんなやつはいらないなということになりやすい。

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