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№1129 集団の分析と成長

№1129 集団の分析と成長
 私はE.H.シャインのプロセスコンサルテーションを重視している。それは組織を実際に動かすための人々の心の動きを研究対象にしているからだ。

 組織は戦略に従う。事業戦略によって組織は作られていくが、いかなる優秀な組織体制を作り上げても、それに所属する人々が戦略を理解し、心を一つにして動かなければ意味はない。結局、行き着く先は人であり、グループであり、部門だったりするのだ。

 人、集団は当然心理的なプロセスを経ながら行動していく。私は私の会社、私の部下たちの心理的な動きを理解しているだろうか。少なくとも、集団のもつ重要なシグナルを私は見逃していないだろうか。プロセスコンサルテーションはこうした見落としてはならないシグナルを私に気づかせてくれる。

 例えば、私の顧問先はリーマンショック以降、体制再編、従業員一人当たりの生産性の向上、集団相互の上昇志向の育成など、不況下でなければ出ない組織再編を続け、組織の筋骨の鍛錬に励んできた。

 そんななかいくつかの組織の役割が明確に理解され始めた。そして各組織について「責任が果たせるとはどういう状態を言うか」が明らかになってきた。こうした作業は不況下、会社全体に襲った強い危機意識がバネになっている。不況下でなければ中々強い意志をもってできるものではない。

 ともかく、パートグループ、パートグループのリーダー、パートを管理する正社員、さらにその管理者、社長、作業部門、営業部門、会計部門、ボード集団など体制は明確になりつつある。

 そこで、重要になっているのが、こうした社内に存在する多様なグループ、集団を会社の組織戦略に合うようにいかに動機づけていくか。集団のベクトルを共通の方向に持っていくかということが課題となる。

 この顧問会社ではまず、幹部社員の教育プログラムを作りあげようとしている。「報・連・相」といった基本的なルール作りから始まり、集団相互で役割を自覚すること、社長の持っている危機意識が享有できること、幹部社員としての自発性が発揮できること、など多くの課題を総合的にとりくみ、集団としての質を高める試みだ。

 これらは時間もかかる。この会社では一応1年かけて幹部社員の要請プロセスを作ることにしている。