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№1167 コンサルテーションに関する3つのモデル

№1162 コンサルテーションに関する3つのモデル
 「プロセス・コンサルテーション」(E.H.シャイン著、白桃書房)を少しずつ読んでいる。これは経営コンサルに関する著書であるが、弁護士である私にも役立つ部分がかなりある。一つの助言が効果を持ち、クライアントに感謝されるにはどうしたらいいだろうか。

 コンサルテーションについてシャインは2つのタイプを例示する。

① 情報-購入モデル
  クライアントが既に特定の専門情報を購入することを決めている場合。
  例えば、従業員集団の反応、ライバル会社の動向など特定の情報を提供するタイプのコンサルテーションである。あるいは特定の経理システムの導入を求めるような場合である。

 このモデルでは、クライアント側に既に「この商品を購入したい」という具体的イメージがあって、「この商品」を提供するタイプのコンサルテーションである。

② 医師-患者モデル
  クライアント自身が問題点を正確に把握しておらず、どんな情報が必要かも分からない場合。
  事業者が漠然として感じている問題点に対して、問題の箇所を明確にして治療計画、改善計画と言った解決を提案する。あるいは、改善計画を導入する為にコンサルタントが招かれる場合。

 このモデルは、クライアント側には漠然とした問題点しかなく、何か問題かを診断し、適切な処方、その導入を求めるタイプのコンサルテーションである。

③ プロセス・コンサルテーションモデル
  PCモデルはコンサルタントとクライアントでは次の内容を原則とする。これはすぐれた教師は子供に対し、「解決のプロセスを教えることができる」ようにするというのと似ている。ただ、答えを教えたり、解法を伝えるだけでは不十分なのである。

 1 双方の共同作業という関係を築くことから始まる。 
 2 クライアントが自分自身の問題点に気づくことを援助する作業を行う。
 3 クライアントが自力で組織を改善する努力が続けるよう技能をクライアントに手渡す。

 プロセス・コンサルテーションは当たり前のことがらだが、コンサルタントが実際の企業に当てはめようという場合にはかなり難しい作業となる。教育の現場であれば、教師と子供は一対一であり、その子を相手にすればよい。しかし、企業の場合、社長、幹部たち、社員たちと相手は多数に及び、それなりに成功し、企業文化を持っている存在であるため、誰と何を協議するかの選択そのものが難しいことになる。また、専門家モデル、医師モデルについても時と場合によってそうしたモデルが機能することにもなる。