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№2196 社長の役割

№2196 社長の役割

 「ティール組織(Teal)」(英治出版) を読んでかなり考えさせられている。私は社長の役割に重大な誤解があったかもしれない。著者は組織を様々な類型に分け,各類型を色で表現している。Tealとは青みがかった緑を意味している。ティール組織では社長力は決定能力ではなく,優秀でかつ広範な知識を背景とした助言能力だ。

ティール組織
 ティール組織は現場を15人程度の少人数グループに分け,自主管理によって業務を決するやり方だ。チームは仕入れ,人事,品質管理,投資についても決定件を持っている。自主管理は製造業など仕入れ,生産,販売とプロセスといった分業のプロセスがある組織にも当てはまるというのだ。

 経営トップのマネジメントによる部門の最適化が必要だと思うのだが,どうなっているのだろう。階層的な組織構造はあるし,ボトムアップとは異なる,全員が平等という訳でもないし,権限委譲でもないと断言しているので,もう少し読み込む必要がある。

ティール組織では集団的意思決定のプロセスが重要
 チーム構成員が経営に対して責任感を持ち,現場を改善したい,新しいアイディアを出したいと動機づけられていることが求められる。自分の職場という強い帰属意識と,仲間に認められるという喜びが強い動機付けとなる。また,主体的な意思形成のプロセスが明確化され,教育システムも整備される必要がある。

助言者の役割が重要になる
 チームの意思決定が全うされるために助言者は時に非常に重要な役割を果たす。助言者はチームの意思決定が健全に機能しているか配慮する必要があるし,重要な問題について専門情報を提供して意思決定を援助する必要がある。しかし,一方で最終判断権者はチームであるという立場を貫かなければならない。

助言者は管理者ではない
 助言者はチームが助言者に依存しないように注意しなければならない。特に助言者が権力を持たないことが重要だ。チームが機能すればするほど,チーム相互の交流が進むほど助言の機会は減っていく。助言者の数も減っていくことになる。

助言者の任務はカウンセラーに近い
 というかカウンセラーそのものだ。この点,プロセスコンサルテーションの考え方が役立つかもしれない。これは組織内の集団が健全に意思決定できるよう,心理学的な視点から援助するものだ。カウンセラーは本人の主体性を引き出すために,適切に聞き続けることが必要とされている。この企業心理学はハーバード大学でもかなり研究されている。

企業のアイデンティティーや規範が重要となる
 このような自主的,自立型組織を全うするためには企業に対する考え方が根本的に変わらなければならないだろう。企業は社会的存在で「公器」だ。企業は社会の中でなぜ存在するか考えていく必要がある。

たとえば,パタゴニア
 たとえば,パタゴニアというアウトドア衣類などを販売する会社があるが,商品に品質や企業運営に明確なコンセプトを持ち,社員たちはパタゴニアの社員であることに誇りを持っている。また,社内ルールは社員を統制するものではなく社員が自由に企業に関われるためのものであるという視座の転換も必要だろう。

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