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№1193 アホウにならんといかん

№1193 アホウにならんといかん
 私の顧問先の社長は76歳になるが、私に社長になるには「アホウにならんといかん。」という。「人間考え方は十人十色だ。アホウになって教えてもらわんといかん。」というのである。

 自分の跡取りには「まだまだ、あほうになっていない。うちの息子は(視野が)こんなに狭くなっていて、人の言っていることがわかっていない。」

 この社長はサラリーマン時代に得意先から独立を促され、運送業で独立し、何台ものトラックや、大きな営業所も持てるようになっている。まだ、中小企業ではあるが、まだまだ未来がある。

 意識を共有し相手の本当にやりたいことを引き出していくコンサルの手法をプロセスコンサルテーションと呼ばれている。一般的なコンサルが専門情報など結論を情報として提供するのに対し、プロセスコンサルテーションでは考える過程援助する。

 このプロセスコンサルテーションの原則の一つに「あなたの無知にアクセスせよ」というものがある。つまり、最初から結論を持って相手にそれを当てはめようとしたのでは本当の問題点は見えてこない。

 「アホウ」になって相手が何を問題視しているか、どこがボトルネックになっているかを相手から引き出すことで真実が見えてくる。「アホウ」になって、相手が一生懸命話し始めたら相手と同じ視線を作ることができる。

 この作業は実は忍耐のいる作業だ。というのは、聞く側は既に多くのことを理解しており、自分の結論をある程度持っている。にもかかわらず「アホウ」になって、自分の結論は「決めてかかっている」と仮定し、相手の話を聞かなければならない。結論を持っている自分は驕っている。「アホウ」になって自分の結論をまず捨てておかなければならない。


  プロセスコンサルテーションでの重要な役割は聞き出すことによって、相手が本当の問題点に気づき、共同作業を始めることによって相手が主体的に問題の解決を見つけ出そうとし、さらには問題解決に動き出すという点だ。